『報ステ』HPより
本サイトが取り上げてきた『報道ステーション』(テレビ朝日)が“政権批判をしなくなった問題”は大きな話題になったが、ついに今週発売の「週刊文春」(文藝春秋)8月30日号でも、取り上げられた。
本サイトでは、今年7月、安倍首相にべったりのテレ朝のドン・早河洋会長の意向で、『報ステ』のチーフプロデューサーが桐永洋氏に交代。以来、桐永チーフプロデューサーの方針で、政権批判や権力監視の報道がすっかり鳴りを潜め、当たり障りのないスポーツニュースなどをメインに扱うようになってしまったことをスクープしたが、今回、「週刊文春」は、その桐永氏(記事ではAプロデューサーとなっている)が7月に就任した際、こんな所信表明をしていたことをすっぱ抜いているのだ。
〈(今の報ステの)イメージは偏差値七十くらい。東大は入れるんじゃないかという感じ。偏差値五十の庶民が見た時に理解できないからチャンネルを変えちゃおうとなっちゃってる〉
なんとも視聴者をバカにした発言だが、こんな人物が『報ステ』のチーフプロデューサーになり、いまの状況が生まれてしまったのである。
また、「週刊文春」は政権批判や社会問題に取り組んできたスタッフが切られ始めている問題も伝えている。記事によると、これまで原発問題等を取り上げてきた制作会社の敏腕ディレクター(記事内ではB氏とされている)が、「7月半ば、報道局幹部から唐突に『Bさんの得意な(社会問題などの)分野はあまり取り上げなくなるから契約更新が難しい』などと告げられた」という。
いずれも、本サイトのこれまでの報道を裏づける内容だが、しかしちょっと首をひねりたくなるのが、その「週刊文春」の記事全体の方向だ。これだけの内情を掴みながら、桐永チーフプロデューサーのことはなぜかほとんど棚上げされ、話が矮小化されてしまっているのだ。
最たるものが、最近、発表されたサブキャスター・小川彩佳アナの『報ステ』降板の理由だ。そもそもこの記事、タイトルは「嵐 櫻井と破局 富川アナの『いびり』 小川アナが『もう限界…』」で、『報ステ』異変の舞台裏についてレポートしているのだが、小川アナの降板は司会の富川悠太アナウンサーとの確執が原因だというのである。
記事によると、富川アナが小川アナに対して「インタビューが下手」などと攻撃。「反省会でも小川をネチネチ叱っている」「二人はいわば“冷戦状態”」で、小川アナが親しい知人に「私ももう限界なんですよね……」と漏らしていたという。
また、記事では櫻井翔との破局で、小川アナの精神状態が不安定になっていたことも指摘。「四月から六月までの放送前に落ち込んでいることがよくありました。MCの打ち合わせの時の表情が暗く、『櫻井と別れたからでは』と現場で噂になったほど」なる報ステ関係者の話も掲載している。
しかし、小川アナの番組降板の理由って、本当にそういう話なのか。テレビ朝日関係者に訊くと、こんな答えが返ってきた。
「富川さんと小川さんの“不仲”が降板の原因? それは絶対にないです(笑)。たしかに二人のウマが合わないという話は聞きますが、だからってそれが理由で番組を降りるなんてあり得ませんよ」
小川アナが降板したのは、富川アナとの確執とか、櫻井との破局とかとは関係ない。『報ステ』を骨抜きにしたテレ朝上層部に、そのジャーナリスティックな姿勢が敬遠され、切られてしまった結果なのである。