Twitter Japan公式ツイッターアカウントより
最近また、Twitter上で、差別やヘイトスピーチを批判している複数のアカウントがロックされるという異常事態が起きている。言っておくが差別やヘイトスピーチを投稿しているアカウントではない、それを批判しているアカウントが日本のTwitter運営元であるTwitter Japanによってロックされているのだ。
ヘイトスピーチ問題をもっとも早くから取材してきたジャーナリスト・安田浩一氏もまた、今回、Twitter Japanからアカウントのロックをされてしまった一人だ。安田氏は本サイトにそのときの状況をこう振り返る。
「数日前、普段のようにスマートフォンでTwitterを見ようとしたところ、突然『このアカウントはロックされています』というような表示が出ました。その下には、私が2014年に投稿したツイートが記されていたのですが、その内容というのは、在日コリアンを誹謗中傷、罵倒する差別的なツイートに対して、私がそれを引用したうえで批判したというものでした。どうも、運営者はこれを『差別的言動』などとして、私のアカウントをロックしたようなのです」
つまり、ネトウヨの差別ツイートを批判的文脈で引用し、これに対して異を唱えたツイートが、不可解にも「差別的言動」と判断されたというのである。しかも、差別ツイートに対する安田氏の批判は「死ね」などというような暴力的な内容ではなかった。
安田氏によれば、Twitter Japanからの通知には、異議を申し立てる連絡をするか、該当のツイートを削除するかの選択肢が設けられており、異議申し立ての方法がうまくいかなかったのでツイートを削除したところ、ロックが解除されたという。
本サイトは、安田氏以外にもロックされたユーザーに話を聞いたが、やはり似たような状況だった。運営側がツイートの内容を人的に判断しているのか、それとも機械的に判別しているのかは不明だが、差別を批判する言論に対してロックをかけるというのは、控えめに言っても理解できない。
しかも、不可解なのは、こうしたヘイトや差別を批判するツイートがことごとくロックされている一方で、多くのヘイトや差別ツイートがロックされずに放置されていることだ。安田氏もその点を強く批判する。
「先日の大阪北部地震の際にも、『地震が起こると在日が犯罪に走る』とか『外国人がコンビニ強盗を始める』などといった悪質なデマが流れましたが、こちらはロックされることもなく野放しになっています。強調したいのは、こうしたヘイトクライムにつながるデマやヘイトスピーチにしっかり対応するのが運営者の責務であるということ。私がロックされたことより、そちらの方がよほど腹ただしいです」
安田氏の指摘する通りだ。事実、現在も〈日本が嫌なら朝鮮に帰れ〉などといったヘイトツイートそのものが、誰にでも見えるかたちで大量に垂れ流されている状態だ。
そんなことから、一部では「Twitter Japanは、恣意的に差別に批判的なユーザーを取り締まっているのではないか」という疑念の声もあがっている。