例を挙げれば多すぎてキリがないが、最近でいえばHey! Say! JUMP中島裕翔による、一般女性への痴漢事件だ。
30代の女性会社員から「男性に路上で抱きつかれ、上半身をさわられるなどした」という110番通報があり、警察が駆けつけるとそこには泥酔した中島の姿があったことから、中島は警察署に連れて行かれ、任意の事情聴取まで受けた。この事件については、ジャニーズ事務所も事実を認めたうえで、「泥酔下とはいえ、このような事態になりました点について、関係者の皆様に深くお詫び申し上げます。本人も深く反省しております」と謝罪。その後、女性が被害届を出さなかったため事件化は免れたが、見知らぬ女性に抱きついたとなれば立派な痴漢行為である。
しかし、大手メディアはこのスキャンダルを報じた「週刊文春」16年5月26日号の報道を一切後追いせず、完全に黙殺。その年の7月には、中島の主演ドラマ『HOPE〜期待ゼロの新入社員〜』(フジテレビ)が、なにごともなかったかのように放送された。今回の件でも、手越は日テレのワールドカップキャスターを予定通り務め、加藤が主演する『ゼロ 一獲千金ゲーム』は予定通り放送される予定だ。同じことがいままさに繰り返されようとしている。
こういった話はまだまだある。「週刊現代」(講談社)08年8月9日号が取り上げた、大野智のスキャンダル。記事によると、渋谷区のカラオケボックスで行われた「飲み会」で一緒になった女性二人と大野は、宴会中に回したジョイントで気分がよくなったのか、そのまま女性のうちの一人の自宅マンションで飲み直すことに。そこで大麻をやって3P状態になったという告白が参加者から語られた。この「週刊現代」報道が事実だとすれば、大麻取締法違反の疑いもあったが、これもまたワイドショーなどではいっさい報じられることはなく、うやむやになって終わっていった。
何をしたって事務所とメディアが、「なかったこと」にしてくれる。そのことがジャニーズタレントたちのハメを外した行動を後押しする大きな要因となっていることは、もはや疑いようがない。
そして、今回のコンプライアンス講習の記事だ。不祥事防止策を報じる記事ですら、相変わらず事務所の意向を忖度して、手越らの不祥事はなかったこと扱いしているようでは、元も子もない。手越が実際には厳しいバージョンの講習を受けたが記事に名前がないだけなのか、そもそも受けていないのかわからないが、いずれにしてもジャニーズ事務所と忖度メディアがその癒着体質をあらためる気などないことだけはわかる。
だいたい、報じられている講習内容もよく読めば〈スマートフォンなどのセキュリティー管理といった基礎的な部分をはじめ、法律についての座学や、どのような場合に法令違反となるかなどのケーススタディ〉と、まるで不祥事がバレないための危機管理対策にすら思えてくる。
少なくとも、今回ジャニーズ事務所が所属タレントに対しコンプライアンス講習を開いたというのが、事務所批判をかわすためだけの単なる対外アピールにすぎないことは明らかだ。こんな上辺だけのコンプライアンス講習など何回開いたところで、ジャニーズ事務所の強権隠蔽体質と、それに服従するメディアの癒着構造という根源的な問題をどうにかしない限り、ジャニーズタレントの不祥事は永遠に繰り返されるだろう。
(編集部)
最終更新:2018.06.21 02:38