また、黒川事務次官は大阪地検幹部だけでなく、捜査の指揮を執った山本真千子・大阪地検特捜部長にも直接、働きかけをおこなっていたのではないかという情報もある。
山本特捜部長については、当初、「かなり骨のある女性だから、上層部の圧力を跳ね返してでも立件するかもしれない」という期待が集まっていたが、結局、全員が不起訴処分という上層部のいいなりの決定を下してしまった。
「山本氏は今年3月に人事異動の予定だったのですが、不起訴を前提に任期が延長された。山本氏は法務省の人権擁護局で総務課長を務めていたこともあって、黒川氏とも知った仲ですから、なんらかの取引があったのではないかとも言われていますね」(在阪テレビ局司法担当記者)
いずれにしても、“安倍官邸の代理人”の圧力で、森友捜査は歪められ、安倍政権の主張通りの結果に導かれてしまったのだ。司法までが言いなりになっている安倍政権の独裁体制には暗澹とさせられる。
おそらく、安倍政権はこの検察の不起訴決定を盾にして、森友問題そのものを幕引きさせようとするだろう。
しかし、はじめから答えありきの捜査結果によってこんな重大な不正を幕引きさせてはならない。
何度でも繰り返すが、財務省が昭恵夫人を忖度して8億円を値引きしたこと、そして、安倍首相の「総理も国会議員も辞める」という答弁のために財務省が文書を改ざんしたのは紛れもない事実だ。
そして、いま起こっていることは、「首相夫人の意向を受けて国有地を8億円値引きしても、公文書を改ざんしても罪にはならない」という独裁国家と見紛うような異常事態なのである。
むしろ、「捜査中」を理由に答弁・証言の拒否ができなくなったいまこそ、もう一度、佐川前理財局長を証人喚問して国会で追及すべきだろう。国有地払い下げの“当時の最高責任者”であり、核心を知る最重要人物である迫田英典・元理財局長、そして最大のキーマンたる安倍昭恵氏の証人喚問も絶対に実現しなければならない。
この国はもう抜き差しならないところまで追い詰められている。これを打開するには、もはやそのことにどれだけの人が危機感を抱けるかにかかっている。
(編集部)
最終更新:2018.08.07 10:57