しかも、国会運営費のことを問題にするのであれば、昨年から1年間、安倍政権は国会を愚弄してきたことを振り返らなくてはならない。森友問題では改ざんした文書で説明をおこなって嘘を吐きつづけ、加計学園問題でも虚偽の答弁を連発し、自衛隊イラク派遣の日報も発見から1年以上も国民から隠されてきた。1年間も欺かれつづけて議論もゼロからのスタートとなった、その責任はすべて安倍政権にあるのだ。
その上、政府が逃げるがために麻生財務相の暴言は止まず、セカンドレイプと言うべき女性の人権を踏みにじる発言が副総理から発信されつづけるという異常な事態に陥っている。国際社会に対しても日本の女性蔑視体質をあらためて再認識させた発言だ。
だいたい、柳瀬元首相秘書官が面談の事実を認める方針に転換したのは、記憶が蘇ったからでも何でもなく、野党の審議拒否が効いた結果だ。もし、審議を続行させていれば嘘を突き通した可能性も高く、非難されるとすれば、一向に真相究明をしようとしない姑息な安倍政権の姿勢のほうだろう。
だが、安倍応援団メディアやコメンテーターたちの問題のすり替えによって、国民はすっかり騙されてしまった。現に、日本経済新聞がおこなった世論調査では、野党6党が国会審議を拒否していることについて「適切ではない」と答えた人は64%にものぼった。
しかし、これこそが安倍政権の常套手段なのだ。ここまで不祥事と暴言がつづけば、普通は引導を渡す。しかしそうしないのは、安倍政権が国民を舐めているからだ。つまり、どんなその場しのぎのデタラメや嘘でも、信じられない暴言でも、強弁をつづければそのうち国民が批判することに疲れてきて、問題がうやむやになり、批判が落ち着くと踏んでいる。そして、国民に野党アレルギーがあるのをいいことに、責任を野党になすりつけようというのである。
公文書改ざんと腹心の友への利益誘導という安倍首相夫妻による政治の私物化が招いた民主主義を根幹から崩す大問題に、副総理による明確な女性差別発言。これらを不問に付してしまえば、異常に慣れきって正常な判断がなされない状態になっている証拠だ。公文書の改ざんや隠蔽を許し、麻生財務相の発言を「いつもの放言」だと受け止める、そんな狂った常識の社会で生きていくことこそをこの世の地獄と言うのではないだろうか。
(編集部)
最終更新:2018.05.07 12:15