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南北会談を受け拉致被害者・蓮池薫が国民に対話を呼びかけ!「拉致解決の大きなチャンス、日朝国交正常化を支持して」

 本サイトでは何度も指摘してきたが、拉致問題の解決を考えれば、北朝鮮への強硬姿勢、圧力一辺倒でなく、対話やある程度の妥協が必要なのは自明のことだ。そして、そのチャンスは過去に何度もあった。

 ところが、北朝鮮問題を改憲や愛国心扇動に政治利用したい安倍晋三首相と「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」(「救う会」)は、圧力を強めれば北朝鮮の体制はすぐに崩壊して被害者が帰ってくるとのデタラメを強弁し続け、対話の可能性を探る動きを徹底的に封殺してきた。

 その結果、日本中が「圧力こそが唯一の道である」との空気で染められ、逆に、対話や妥協を主張することがタブーになってしまったのだ。

 それは、拉致被害者当人やその家族にとっても同様で、疑問を率直に口にした薫氏の兄・透氏は「家族会」を追放された。また、横田めぐみさんの両親、横田滋・早紀江夫妻は、2002年の段階で北朝鮮に行く計画が進んでいたが、「救う会」の圧力で断念せざるを得なくなり、その後もずっと“家族会の顔”として「北への圧力を強めろ」と叫び続けることを強いられた。

 この圧力強硬路線については、最近になって、早紀江さん自身が「(日本政府を)信じてよかったのか」と後悔の念を口にしたことが伝えられたが、薫氏も同じような圧力を受けていたことは容易に推測できる。

 いや、帰国を果たした被害者である薫氏へのプレッシャーはもっと強かったはずだ。北朝鮮への経済支援に対して好意的な見方をすれば「お前らは助けられた身でそんなことを言うのか」「残された被害者のことを考えろ」などというバッシングを受けるのは目に見えていた。それどころか「北朝鮮のスパイ」とレッテルを貼られ、血祭りにあげられてしまう可能性もあった。

 そんな蓮池薫氏が今回、勇気をふりしぼって口を開いたのは、前述したように、南北首脳会談が開かれ、米朝首脳会談が行われるこのタイミングが拉致問題解決の最大にして最後のチャンスと考えたからだろう。

 ところが、マスコミはあいかわらず「北朝鮮に金を払うなんてとんでもない」「制裁を解除したら思う壺だ」などとがなりたて、安倍政権も一向に前向きな姿勢を見せない。このまま、政権と世論が一体となって「北朝鮮に妥協するな」という声に覆われてしまったら、自分が帰国した直後のように、千載一遇のチャンスを逃してしまうことになりかねない。そうした切迫感が、薫氏を突き動かしたのではないか。

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