また、松本や百田らが言うような、「イヤだったら、なんで1年間も、1対1で会い続けていたのか」という主張も大間違いだ。
4月24日のテレビ朝日の定例会見や『羽鳥慎一モーニングショー』の報道によれば、女性記者は1年ほど前に上司に福田次官のセクハラを相談したところ「1対1では会わなくていい」とアドバイスされ、その後1対1の夜の会合は避けていたのだという。ところが、森友文書の改ざん問題が連日報じられるなか、今月4日にNHKが19時のニュースで財務省が森友側に口裏合わせを依頼していたことをスクープ。女性記者は自宅でこのニュースを見ていたのだが、デスクから裏付け取材をするよう指示される。そこにちょうど福田次官から電話が入ったことから、記者は裏付け取材をするために1年ぶりに1対1での取材に臨んでいたのだ。裏付け取材を指示したデスクはセクハラの件を知らなかったといい、また財務省が口裏合わせをしていたなどという重大な情報に接すれば、記者としての責任感からガマンしてでも取材に出かけるという心情は十分理解できる。
そもそも仮に1年半のあいだ会い続けていたとしても、『ワイドナショー』で山崎アナも指摘していたように、「イヤでも仕事への責任感からイヤとは言えない」という女性は少なくない。
松本の番組担当に配属されてイヤだなと思っても言えないテレビ局員もいるだろうし、百田は「そんな男と1対1で1年間に数回も食事に行くかね」と言うが、卑猥なツイートを連発している百田と打ち合せや接待の食事をともにする女性編集者もいると思うのだが……。
だいたい福田次官のほうから呼び出しておいて、「はめられた」も何もない。財務省は福田次官にどういう意図で記者を呼び出したか、聞き取り調査したのだろうか。NHKのスクープ報道があったから情報をエサに呼び出せば記者が応じるとふんで、むしろ福田次官のほうこそ、はなからセクハラ狙いで記者を呼び出したのではないか。
とにかく、今回の件は、どこをどうとっても、女性記者側に瑕疵はない。非は100%、セクハラ発言をした福田次官側にある。
いや、麻生も松本も百田もそんなことはわかっているのだろう。わかっていながら、安倍政権を擁護し、自らの女性蔑視・セクハラ体質を正当化するために、こんな無理筋の「はめられた」「ハニートラップ」を強弁し続けているのだ。
しかも、これは今回の一件だけではない。山口達也の事件でもそうだが、セクハラや強制わいせつ、レイプ事件などが発覚すると、必ずと言っていいほど「ハニトラ」「はめられた」と、被害者攻撃がなされる。これは、日本社会がいまだ、女性を「性のはけ口」としか見ない差別体質が温存され続けていることの証明と言えるだろう。
(編集部)
最終更新:2018.04.27 01:17