小説、マンガ、ビジネス、週刊誌…本と雑誌のニュース/リテラ

コムアイが奥田愛基のイベントに参加! かつて明かした“政治的発言やデモ参加への葛藤と無力感”にどう向き合ったのか

 そのように姿勢を変えたのは、「炎上するから」とか「圧力をかけられて業界から干されるから」といった理由ではない。

 昨年12月に出版された「ele-king」vol.21のインタビューで彼女は「めっちゃ我慢してるんですけど」と語り、社会的イシューに関するメッセージの出し方について模索していると語っている。

 なぜ模索するのか。それは、どうすれば、より自分とは遠い場所にいる人のもとにまで言葉を届けられるかを考えているからだ。「SPA!」(扶桑社)16年6月21日号のインタビューではこんなことを語っていた。

「政治的な意見って、音楽の趣味と違って、個人の考え方と密接に繋がったものだから、同じ意見を持ってる人としか遊べなくなっちゃうみたいなのがイヤなんですよ。(中略)例えば、いま私がデモに行っても、その力は何万人分の1にしかなれないじゃないですか。それが悔しい。デモに参加した時点で、「あの人はそっち系か」と思われるじゃないですか。そうなると、“そっち”のなかの一人にしかならない。それだったら、水曜日のカンパネラを大きくして、気づかぬうちに世の中を変える力を発揮できるようになりたい。私、そんなに欲浅くないので」

 この言葉は、先に挙げた原水禁のビラを配ったときに無力感を感じたエピソードの延長線上にあるものだろう。何万人分の1になることにも大きな意味はあるし、コムアイのようなアーティストがデモに参加すれば、それ以上の影響力もある。たとえば先日14日に国会前で行われた安倍政権への抗議デモには5万人もの人が参加、メディアでも大きく報じられその影響は政治家たちも無視できないだろう。しかし一方で、朴槿恵を退陣に追い込んだ韓国のデモや、アメリカの反トランプデモに比べれば、まだまだ圧倒的に参加人数が少ないのも事実だ。コムアイがはがゆさを感じているのも、そういうところかもしれない。

 その意味で、奥田氏が「同じジャンルで固まっていっても、外には開かれていかないじゃないですか。デモに行く人が『クラブなんて…』とか、クラブを楽しむ人が『デモなんて…』ってもったいない。音楽を聴く人も、社会を考えたい人も全部を混ぜていきたいんです」(前掲「ハフポスト日本版」)と語るイベント「THE M/ALL」は、コムアイの問題意識ともかなり通じるものがあるのだろう。

 水曜日のカンパネラは昨年3月、初の日本武道館単独公演を成功させた。その後もグループの勢いは止まらず、NHK Eテレ『にほんごであそぼ』に「江戸っ子どこどこ」を提供したうえで番組とコラボしたり、その一方で、上海と北京で行われる中国最大の野外音楽フェス「Strawberry Music Festival 2018」に出演が決まったりと、その活動の規模はより大きく、そして多岐にわたっている。

 かつて語っていた社会的発信への葛藤から一歩踏み出す何かを見出したのだろうか。「THE M/ALL」で、コムアイがどんなパフォーマンス、メッセージを見せてくれるか。今後のコムアイの活動にも注目していきたい。

最終更新:2018.04.20 12:38

関連記事

編集部おすすめ

話題の記事

人気記事ランキング

話題のキーワード

リテラをフォローする

フォローすると、タイムラインで
リテラの最新記事が確認できます。