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ブラ弁は見た!ブラック企業トンデモ事件簿100 第12号

会社は治外法権じゃない! 不倫の噂で解雇、業績いいのにリストラ、残業代を払わない…労働基準法を無視する会社

 さて、こちらも残業代請求事件だが、上記の例と異なり、思いっきり無駄な抵抗をしてきた事案である。私が受任通知を会社に送ってタイムカードの提出を求めたところ、素直に出してきた。タイムカードは残業代請求事件においてもっとも固い証拠であると言っても過言ではない。それを元に残業代を計算したところ、あまり大きな額にならなかったので、金額を伝えれば素直に払ってくるだろうと思われた。

 が、違った。「うちの残業は承認制です。承認してないから残業代払いません。」と反論してきた。よくある反論の一つである。承認制を取っていても、タイムカードを見れば残業をしていたことははっきりしており、会社もそれを把握していながら放置していた。さらに、打刻忘れをした際には、手書きで出退勤時間を記載し、上司がそこにハンコを押していた。これらの事情からすれば、残業を黙認していたことは明らかである。しかし、結局支払いを拒絶されたので、労働審判を申し立てた。

 労働審判となると、弁護士をつけるか、つけないなら会社の代表者が自ら来なければならない。それはさすがに不要な手間と金がかかるので、第1回期日前に「やっぱり払います」と言ってくるのではないか、と思っていた。しかし……弁護士をつけて思いっきり抵抗してきた。そのなかで、驚きの反論があった。「うちのタイムカードは出退勤時間を記録するためにあるのではない!」と言うのである。それ、「弁護士は弁護するために存在するのではない!」と言っているのと同じレベルだと思うのだが。

 もちろんそんな反論は受け入れられず、結局こちらの請求額満額に近いかたちで和解が成立した。向こうは弁護士を2人もつけてきたのだが、最初から素直に支払っていれば明らかに安上がりで済んだと思う。多分、相手方の弁護士に払われた費用は、こちらの請求額よりも多い。

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