丸川氏といえば、第一次安倍政権時の2007年参院選に初出馬し当選。安倍首相が直々に口説き落とした“安倍チルドレン”のひとりで、第二次安倍政権の2015年には環境相および内閣府特命担当大臣(原子力防災)として初入閣するなど、首相の寵愛を受けてきた。
ちなみにこの初出馬時、丸川氏は、宗教団体・幸福の科学から選挙応援を受けている。当時、これを報じた日刊ゲンダイ(07年7月31日付)によれば、幸福の科学の信者が「丸川への投票を呼びかける電話作戦を展開し、当選に大いに貢献した」という。実際、日刊ゲンダイの取材に幸福の科学側も「これまでの安倍政権の仕事と方向性を高く評価し、丸川珠代氏を応援しました」とコメントしている。
まあ、それはともかくとしてもだ。いまとなっては信じられないかもしれないが、実は、丸川氏はある時期まで、リベラルなスタンスの発言をするタイプの人間だった。たとえば、テレ朝時代の2003年に刊行した金子勝・慶応大学教授との共著『ダマされるな! 目からウロコの政治経済学』(ダイヤモンド社)では、当時の小泉政権によって進められていたネオリベ的な小泉改革や、米国ブッシュ政権によるイラク戦争の強行などを鋭く批判していたのだ。
ところが、前述のとおり安倍首相に見初められ、安倍チル議員になると、その丸川氏が「日本の核武装に対して検討を始めるべき」などと主張しだすなど、どんどん「右傾化」していく。しかも、単に保守寄りの政治思想に“転向”したというようなものではなく、ネット右翼のようなフェイクまで言い始めたのである。
たとえば、月刊誌「WiLL」(ワック)11年3月号に掲載された渡部昇一・上智大学名誉教授との対談では、民主党政権が前年に導入した子ども手当について、渡部氏の「(子ども手当を目当てに)中国人や韓国人が役所へやってきて、一人で数十人も申請するようなケースが出てきてしまった」というデマ丸出しの主張に丸乗りして、「子ども手当は、子供が日本国内に住所を有せず、かつ日本国民でない場合は支給しない」という条項をつければ「あのような事態は未然に防ぐことができたんです」などとヘイトスピーチまがいのデマを言いふらしていた。さらに、同対談ではネトウヨ的歴史修正主義の片鱗ものぞかせている。
「私たち世代が受けてきた歴史教育は、明治時代までがせいぜい。それ以降の戦争を学び、『自虐史観』を持つ以前の段階でおわってしまうようなものなので、あまり判断材料が足りませんでした。ようやく今、インターネットなどで情報を共有し合う若い人たちのつながりが出てきたことで、『本当の歴史』を知ることができるようになった」