知性溢れるボキャブラリーには絶句するが、まあ、あの麻生太郎財務相のことまで「反日売国」と攻撃していた方々である。これだけならさもありなんという感じもする。問題はそこではなく、こんなツイートが散見されたことだ。
〈あっ、坂上忍って在日なのね 全てに納得いったわ さ、韓国にお帰りください 日本の政治は「日本国民」が決める 他国の人間が口を出すな〉
〈坂上忍!在日だったのか!じゃあ、納得。早く芸能界から消えるのを希望〉
〈坂上忍は在日三世だと知って、力いっぱい納得。品がないし、なにより前科ありで民度低いもの。〉
〈坂上忍さんも在日だそうで。いまだ韓国籍だし。もりかけ問題はすでに、日本対在日(裏に中国と反日)の戦争になってるよ。〉
〈坂上忍、在日韓国三世なの どおりで・・・日本人だと思ってたから怒りがこみあげてたけどそういう事か。愛情の裏返しや知識不足じゃなかったのね。「日本が嫌い、日本国益を収奪」それが目的だったのね。〉
念のため言っておくが、「在日」という言葉自体は、本来、在日朝鮮人・韓国人を意味する言葉として流通していたもの。しかし、2000年代にネットが普及し、排外主義が台頭すると、右派やネトウヨによる左派・リベラル派への攻撃として「在日」がスラング化し、護憲や人権、反原発を口にする者はもちろん、自分たちが贔屓にする自民党の極右政治家に対する批判的な意見へのカウンターとして、片っ端から「在日」という言葉を浴びせ始めた。
こうした脊椎反射的な「在日」攻撃も、在日コリアンに対するグロテスクな差別意識を背景にしているのは明らかで、到底許せるものではないが、今回の坂上への攻撃はそれよりももっと具体的だった。
実際、Yahoo!のリアルタイム検索機能で調べると、23日の放送直後から、Twitterで突然、坂上が「在日韓国人三世」で本名を「姜忍訓(カン・インフン)」とする書き込みが急増している。
実はこれには理由があった。ネトウヨ連中が根拠としていたのは、ネット百科事典「Wikipedia」上の坂上忍の項目。21日14時に、あるユーザーがソースなしで「在日韓国人三世」で「本名は姜忍訓」なる記載を加えていたのだ。この書き込みは、23日に一旦別のユーザーによって元に戻されるも、同日に何度も「在日」等に書き換える荒らしが発生し、24日現在、保護項目になっている。
実は、坂上は20日の『バイキング』でも、改ざん問題を徹底批判しており、和田議員の質問について「あまりにも見苦しい」と一刀両断していた。それと、Wikipediaの荒らしが連動しているのかは不明だが、いずれにしても、この「在日韓国人三世」で「本名は姜忍訓」なる書き込みはネトウヨによるデマ攻撃の可能性が非常に高い。
そして、23日の『バイキング』での和田批判のあと、和田信者たちがこのWikipediaの記述を使って、坂上に対する「在日攻撃」を始めたのだ。
「差別デマ」をつくりだして自分たちへの批判者を攻撃する卑劣なやり口は、安倍応援団の特徴だが、今回もその典型的なやり口と言っていいだろう。