では、現時点でわかっているもう一人の圧力議員・池田佳隆氏はどうか。池田議員といえば、「宇予くん」問題やヘイトツイートで顰蹙を買った日本青年会議所(JC)の元会頭。2012年衆院選で初当選し、例の「文化芸術懇談会」のメンバーでもあった典型的な安倍チルドレンだ。池田氏がJCの会頭を務めていた2006年には、「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社)同年12月16日号の広告記事での女優・紺野美沙子との対談で、こんな“極右教育観”を展開している。
「戦後の偏向教育は日本を堕落させた根幹だと思います。今こそ道徳教育が必要だと考え、本年度、日本JCは義務教育の現場へ直接働きかけました。道徳教育を通じて文化や伝統の大切さを伝え、日本に生まれたことを誇りに思える子どもたちを育む義務がおとなにはあります。われわれがまず伝えたいのは純粋に祖国、先人を想う心。自国の利益のみを追求する国粋主義とは違います。そもそも祖国を想う心がなくて、どうしてほかの国を想うことができるでしょう」
しかも、池田氏の会頭時代にJCは『誇り〜伝えようこの日本(くに)のあゆみ〜』なる歴史修正アニメも制作している。第一安倍政権の極右教育政策と軌を一にするものだが、それもそのはず。実際、池田議員は安倍首相にぞっこんらしく、産経新聞の阿比留瑠比記者によれば、06年7月に〈たまたま面会した〉当時内閣官房長官だった安倍氏から「日本は私たちが必ず守ります」と言われ、この言葉に感動して政治家を志したという。しかも池田議員は「安倍のまな弟子」を自認しているらしい(「産経ニュース」14年12月1日)。まるで愛国カルトの教祖と信者みたいではないか。
いずれにしても、今回の文科省による授業データ提供強要事件は、赤池、池田という2人の安倍首相子飼い極右議員が文部科学省に圧力をかけていた結果、引き起こされたのは間違いない。
「教育の独立」「言論の自由」を一顧だにしておらず、国家に命を捧げる国民をつくり出すことを教育だと捉えているような連中にとって、自分の親分の不正を告発した元官僚の授業を検閲することは、当たり前の行動なのだろう。
しかし、恐ろしいのは、こんなトンデモ思想をもつ議員に圧力をかけられて、文部科学省がいとも簡単に教育基本法第16条や憲法21条に反する行為をやってしまったことだ。これは、文科省の官僚たちが赤池、池田両議員の背後に安倍首相の存在があることを意識したからにほかならない。
彼らの主張は安倍首相とほとんど同じものであり、安倍首相自身もこれまで、文科省に対してさんざん圧力を加え、極右教育を押し付けてきた。その結果、文科省は赤池、池田のようなチンピラ議員すら、安倍首相の代弁者ととらえ、違法行為を強制するような無理難題にも唯々諾々と従うようになってしまったのだ。
この構造は、いま、大きな問題になっている公文書改ざんにも共通しているものだ。日本は、安倍首相と側近議員たちの鶴の一声で、官僚たちが平気で違法行為を働くとんでもない国になってしまった。そのことの恐ろしさを国民は改めて認識すべきだろう。
(編集部)
最終更新:2018.03.21 08:11