室井 元凶は官僚なんですか? メディアも共犯者ですよね。
鳩山 官僚とメディアが一体になっています。こんなことがありました。2010年2月に外務、防衛官僚など数人を官邸に集め、普天間移設問題の極秘ミッションについて話をしました。ナーバスな問題ですし、出席者の間で“極秘”だとの確認もした。ところが翌日の朝刊にこの会議のことがすっぱ抜かれたんです。
室井 怖い。マスコミにリークして、米軍基地問題解決を官僚が潰そうとしたってことですよね。
鳩山 アメリカの意向を官僚が忖度したのでは、といまでも疑っています。そして、マスコミも役人たちに対し忖度する。メディアの情報源は役人たちで、嫌われたら情報源を失い、干されますからね。特にいまの安倍政権では。安倍政権に対して批判的なことを言うと干されてしまう。だから、室井さんはすごく頑張ってるなと感心しています。
室井 ありがとうございます(笑)。わたしはアホ枠なので、刺されないんですよね。
鳩山 私も見習わなきゃいけないなと思っています(笑)。この前、『爆報! THEフライデー』(2017年12月8日放送、TBS)で「史上最低の首相だった鳩山がいまどうしているのか」といった企画があり、女房が出演したんです。そのときに私もいろいろとふざけて喋ったら、出演者の太田光さんに、「やっぱり鳩山さんは馬鹿だったね」と言われて。でも、そういう方向性なら生き残れる可能性が出てきたな、と思ったものです。
室井 えー! そんな自虐的にならないでくださいよ。わたしは鳩山さんの友愛という考え方にも共感しているし、アジアの人たちと仲良くしようという考え方も好き。先生は「東アジア共同体研究所」を設立するなど、東アジア各国との関係構築に取り組んでいて、安倍応援団から中国べったりと批判されてましたけど、最近は安倍さんをはじめとする日本政府が、反中から一転して、AIIB(アジアインフラ投資銀行)や一帯一路構想への「歩み寄り」に転換し始めた。まあ、安倍さん自身の意思じゃなく、アメリカの顔色をうかがった面も大きかったと思いますけど。
鳩山 確かに、トランプ大統領は就任時、中国より先に台湾の蔡英文総統と電話会談するなど反中の姿勢でしたが、しかし17年4月に習近平が訪米し、直接会談して以降、その姿勢が変わりました。おそらくトランプさんがだいぶ中国寄りになってきたことで、安倍さんが「自分だけが乗り遅れたら大変だ」という発想だと思います。
室井 もう情けなくなっちゃう。トランプさんにコメツキバッタみたいに媚びちゃって。安倍さんが総理になってからイスラム国からは名指しで敵国認定されて人質も殺され、次は北朝鮮危機を煽って、いまやアメリカと一緒に戦争するんじゃないかとさえいわれています。格差も広がり、報道の自由度ランキングなんて72位ですよ! やっぱり、鳩山政権をはじめ民主党政権がもっともっと頑張ってくれれば、こんなことにはならなかったと思うんです。
鳩山 もっと長く続けなきゃいけなかったですね。わたしは毎日のように叩かれていましたが、2010年の世界報道自由度ランキングは11位で、いいところまで上がっていた。記者クラブの開放も進めました。そういう意味では言論の自由があった。いまは自由がないからおべんちゃらを言っているわけです。