安倍首相との親密さが全開の『総理』(山口敬之著 幻冬舎)
安倍首相がまた、公然と嘘答弁を口にした。1月30日の衆院予算委員会で希望の党・柚木道義議員が質問に立ち、元TBS記者で“安倍官邸御用ジャーナリスト”の山口敬之氏の準強姦疑惑について取り上げたときのことだ。
この日は被害を訴えている伊藤詩織さんも審議を傍聴していたが、そんななか、柚木議員は山口氏の著書『総理』(幻冬舎)が発売されたのは山口氏が不起訴処分になる直前だったこと、起訴される恐れがあれば安倍首相自ら表紙となっている本は怖くて出版できないはずと指摘し、その上で「ひょっとして不起訴になることをご存じだったのでは」と質問。安倍首相は「常識として考えてほしい」「不起訴になることを知りうるわけがない」とムキになり、山口氏との関係について、こう述べたのだ。
「記者として私の番記者であった者が『取材をしたい』ということで取材を受けたことはありますよ。それ以上のものでも以下のものでもない」
まったく開いた口が塞がらない。安倍首相は昨年11月30日の参院予算委でも社会党・福島瑞穂議員から「『総理』という本を書いたジャーナリストを知っているか、面識はあるか」という質問を受けたときも、「取材対象として知っている」としか言わなかった。
しかし、山口氏といえば、テレビでさんざん「安倍首相との距離の近さ」をアピールして解説という名の政権擁護を繰り返してきた人物で、「"安倍総理に最も食い込んでいる"ジャーナリスト」という肩書きさえ用いていた。デビュー作も安倍首相の執務室での写真が堂々と表紙を飾っているほどで、中身を読めばその関係が「取材者と被取材者」というようなものではないことは明らかだ。
しかも、ネット上では、“取材者以上”の関係であることを示す情報が出回っている。それは、「安倍首相が山口氏の仲人を務めた」というものだ。
この根拠となっているのは、第一次安倍政権時に安倍首相の肝いりで発足した国家安全保障会議(日本版NSC)の議員も務め、現在も改憲派として安倍を支持する軍事アナリスト・小川和久氏のツイートだ。
問題のツイートは、2012年12月30日に小川氏が投稿したもの。ツイート内容を紹介する前に背景を説明すると、その日、TBSは年末大型特番『報道の日2012』のなかで安倍首相が総理に返り咲いてはじめてとなる独占インタビューを放送したのだが、このとき、安倍首相と向かい合って聞き手となっていたのが山口氏だった。