名護市長選では、移設反対の現職・稲嶺進氏に対し、自民党は渡具知武豊氏を推しており、いわば「オール沖縄vs安倍政権」の闘い。だが、多発する米軍事故や松本副大臣のヤジ問題もあって自民党は相当な危機感をもっており、昨年末に菅義偉官房長官と二階俊博幹事長が沖縄入りしたことにつづき、「自民党の選挙パンダ」である小泉進次郎議員も応援に投入する予定だ。
そして、昨日の予算委員会の質問時間を使って展開された、「自民党は沖縄の味方です」という空疎な学級会劇──。選挙前には決まって綺麗事を口にしてきた安倍首相だが、予算委での「沖縄の方々の気持ちに寄り添う」という言葉もそれと同じ。忘れてはならないのは、その言葉は「嘘」だということだ。
事実、先の衆院選で打ち出した「幼児教育の無償化」も、選挙が終わると認可外などは上限規制を設ける方針を示し、「高等教育の無償化」も条件はかなり厳しく、その上、無償化対象とする大学の要件まで付けはじめ、国立大学協会会長である山極寿一京都大学長も「大学の自治への介入で、やりすぎだ」と批判の声を上げている。つまり、「教育無償化」は選挙中の甘言でハリボテの嘘だっただけではなく、政治が大学自治に介入して言うことを聞かせる手段にさえしようとしているのだ。
まあ、選挙前というのに「米軍の飛行停止」を一言も発していない点からも、安倍首相が「寄り添う」気などないことは明白だが、大事な予算委の質問時間が選挙のための一方的な自己弁護に使われたのである。少なくとも、「与党3:野党7」という与党の時間配分の拡大がいかに無駄であるかがよくわかるというものだろう。
(編集部)
最終更新:2018.01.30 11:54