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横田一「ニッポン抑圧と腐敗の現場」26

伊方原発差止直前、テロの危険性を無視した規制委員会の会見が! 泉田前知事も「原発の稼働を停止すべき」と明言せず

 それは柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を阻止し続けてきたはずの泉田裕彦前新潟県知事(現衆院議員)も同様だった。泉田氏は新潟5区で初当選をしたが、その直前の9月10日、「講演会&懇親会」で次のように訴えていた。

「いま米朝関係が緊迫していますが、私は『原発にミサイルが当たったらどうするの』とずいぶん前から懸念していました。個人的に言っているだけではなくて、知事会要望として伝えています。それに対して原子力規制委員会は『所管でない』『航空機テロも含めてテロやミサイル着弾は規制の範囲を超える。国民保護法でやってくれ』と言う。『ふざけるな』と言いたい。国民保護法で動くのは自衛隊なのですが、『(柏崎刈羽原発の周辺住民の)44万人を避難させてください』と言ったら、自衛隊は『できません』と回答。誰も責任を負わない状態なのです。外野からいくら言っても変わらない。このまま原発再稼働をすれば、何のセーフティネットもないまま、日本国民の生命や健康が危険にさらされてしまうということを声を大にして言いたい」

 ところが当選後の12月2日、泉田氏は新潟市内で開かれた原発問題のシンポで河合弘之弁護士や、滋賀1区から立候補して落選した脱原発派の嘉田由紀子前滋賀県知事らと議論、ここでも、いつ原発テロが起こっても不思議ではないと説明していたが、風向きが変わったのは、続けて河合氏が、北朝鮮のミサイル攻撃リスクを問題視した時のことだった。

「いま自衛隊法82条の3の破壊措置命令が出ています。首相がいちいち許可をしていたら間に合わないので、弾道ミサイルが常時発令状態なのです。自衛隊の航空総隊司令官の裁量で発射できるようにしている。そんな緊急状態なのだから、地下鉄や新幹線を止める暇があったら『原発を止めろ』と(言いたい)。一年間の運転で広島原爆の千発分の放射性物質が貯まる原発を攻撃されたらどうなるか。北朝鮮からミサイルが飛んできて、安倍首相が『国難だ』と言っている割には何で原発を止めないのか。それで稼動停止を求める仮処分で闘っています。それに対して関西電力は『大丈夫です。北朝鮮のミサイルは性能が悪いから当たりません』という抗弁をしている」

 こう訴えた上で河合氏は「私は裁判で頑張りますが、最後を決めるのは政治です」と締め括り、国会議員の泉田氏に期待を投げた形になったが、しかし露になったのは両者の温度差だった。「原発は止めるべき」との河合氏の主張に対して、泉田氏は「動いている方がリスクは高い」と言いながらも曖昧な答えを繰り返したからだ。

「(原発を)止めなくてもリスクが存在している。柏崎刈羽原発はそこにある。着弾をしたら放射性物質をまき散らしてしまう。『(稼働を)止めると安全になる』というのは幻想なのです。『すでにある原発にどう向き合うのか』というところから議論をしていかないといけない」

 これに河合氏は猛反発をした。

「『動いていなくても、使用済核燃料プールなど原発には危険がある』のはその通りだが、危険の度合いが全然違う。福島原発事故で起きたような作業をミサイルが飛んで来た後、火の海の中で出来ますか。動いている時のミサイルの危険を100だとすれば、止まっている時のミサイルの危険性は10以下。100対1ぐらいの違いがあると思っています。『動いていてもいなくても危険なものだから(北朝鮮の)ミサイル対策で運転を止めたって無駄』という考え方には賛成しません。関西電力が言っているのは、まさにそのことです。『(動いていても止まっていてもリスクは)同じじゃないか』と主張、これに対し裁判でいま言ったことで反論しました」

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