まさに正論というしかない水道橋博士の檄文だが、しかし、残念ながらこの言葉は相原社長にもDHCテレビジョンの山田社長にも届かないだろう。
博士も指摘しているように、もともと彼らは確固とした政治信条があって、こうした極右番組をつくっているわけではない。それこそ、自分たちがコバンザメのようにくっついていたたかじんの右傾化にのっかって、「視聴者を煽る極右番組づくりのノウハウ」を手に入れ、それを武器にDHCに接近。吉田会長に気に入られるようさらに論調をエスカレートさせ『ニュース女子』をつくった。それだけのことなのである。
しかも、番組は、自分たちのバックであるDHCの100%子会社であるDHCテレビジョンの持ち込みであり、TOKYO MXにとってもDHCは最大の大口スポンサーだ(2015年有価証券報告書による)。おそらく彼らは何をやっても許される、BPOから意見されたところで痛くも痒くもないという気になっているのではないだろうか。
いや、これは『ニュース女子』だけではない。れっきとした関西キー局が放送している『そこまで言って委員会NP』も同様だ。『殉愛』騒動であれだけ暗躍が明らかになっても、ボーイズは読売テレビから切られることはなかった。また、他局とはいえ、今回、ボーイズが制作している番組がBPOから「重大な放送倫理違反」と指摘される事態が起きたわけだから、普通なら、ボーイズを使うことを敬遠する動きが出てきそうなものだが、読売テレビにその気配はまったくない。
おそらくこの背景には、読売テレビ上層部とボーイズの関係、さらには、安倍首相がわざわざ来阪して出演するほど贔屓にされているという特権意識があるはずだ。
プロパガンダを平気で流し、差別をも商売にしてしまうことの罪の深さにも気付かない彼らに、自浄作用は望むべくもない。これだけ強いかたちでBPOから取材の杜撰さが指摘されても、無節操な番組制作会社と右翼人脈が合体したこのグロテスクな『委員会』型番組はなくなるどころか、どんどん増殖をつづけていくだろう。まさに世も末である。
(編集部)
最終更新:2017.12.17 08:27