また、この『殉愛』騒動はボーイズの極右ビジネスをさらに拡大させることになった。同社への批判が最高潮に高まり、ちょうどさくら夫人を取締役から外した頃、ボーイズは東京・虎ノ門に支社をかまえたのだ。
虎ノ門というのは、周知のように、『ニュース女子』を企画制作しているDHCテレビジョンのスタジオと事務所がある場所。すでにこの時点から、DHCをスポンサーに極右番組をつくるというプロジェクトがもちあがっていたようだ。
「当時、相原社長は『殉愛』騒動やたかじんの死で、関西での番組制作が難しくなる可能性を考えて、新しいビジネス、スポンサーを探していた。そんなところに、DHCと出会って、いっしょに新しい番組をやろうということになったようです」(ボーイズ関係者)
DHCの吉田嘉明会長は公式ホームページでヘイトスピーチを載せてしまうような極右思想の持ち主。ようするに、吉田会長の思想を体現するような番組づくりのパートナーとして名乗りをあげたということらしい。
そして、その先兵役となったのが今年10月にDHCテレビジョンの代表取締役社長に就任した山田晃氏だった。じつはこの山田氏、前述したボーイズの子会社「TVTVTV」の元社員。しかも、たかじんの死後、「TVTVTV」が立ち上げた「やしきたかじんメモリアル」の当初の責任者で、さくら夫人ともしばしば会食し、その様子がFacebookにアップされていた人物だ。
ところが、その山田氏が『殉愛』騒動渦中に「TVTVTV」を退社。いつのまにか、DHCテレビに入り、同社の看板ネトウヨ番組『虎ノ門ニュース 8時入り!』(現・『真相深入り!虎ノ門ニュース』)のプロデューサーに就任していたのだ。
当初は、『殉愛』騒動で山田氏も大炎上したため、ボーイズから逃げ出したのではないかという見方も流れたが、実際は、山田氏とボーイズとは切れておらず、むしろDHC入りはボーイズが送り込んだのではないかともいわれている。
いずれにしても、この山田氏とボーイズが連携して、DHCに食い込み、つくり出した番組が『ニュース女子』だったのである。
しかも、DHCテレビジョンにおける山田氏、ボーイズの影響力は、いまやかなり巨大なものになっている。
じつはDHCテレビジョンは、CS放送チャンネル事業者だったDHCシアターと呼ばれていた時代から、DHC吉田会長と知己のエッセイスト・浜田麻記子氏が社長をつとめていた。
ところが、この10月、浜田氏はDHCテレビジョンに無断で別会社を作り、YouTubeに配信していたとして社長を解任され、山田氏が代わって社長に就任したのである。
しかし、当の浜田氏はこの解任理由を事実とは違うと否定しており、一部では、山田氏が吉田会長に進言して浜田氏の追い落としをはかったのではないかともいわれている。いずれにしても、浜田氏の解任で、DHCテレビジョンは山田氏、そしてそのバックにいると思われる相原社長らボーイズ人脈が完全に牛耳るかたちになっていた。