しかも、このボーイズ、たんに番組を下請けしているだけの存在ではない。そのことを如実に物語ったのが例の『殉愛』騒動だった。
百田尚樹がやしきたかじんと妻・さくら夫人の夫婦愛を描いた『殉愛』(幻冬者)の出版をきっかけに、さくら夫人の嘘や遺産をめぐる不可解な動きが次々発覚したこの騒動だが、ボーイズはその渦中、なんともきな臭い役割を演じていた。
ボーイズの相原社長は「たかじんの一番の子分」として『殉愛』にも頻繁に登場しているように、たかじんの側近中の側近だった人物。そして、同社はたかじんの生前から『委員会』はもちろん、『たかじんNOマネー』(テレビ大阪)や『ムハハnoたかじん』(関西テレビ)、『たかじんTV非常事態宣言』(読売テレビ)など、数多くのたかじんブランドの番組を手がけていた。
だが、そのボーイズと相原社長はたかじんが病に倒れると、たかじんと入籍したさくら夫人に急接近。たかじんの死後は、さくら夫人の代理人のような役目を演じ、さくら夫人をボーイズの取締役に就任させたのである。また、それと前後するかたちでボーイズの子会社「TVTVTV」が設立した営利サイトを「やしきたかじんメモリアル」と改称し、たかじんの追悼ビジネスも手がけ始める。
『殉愛』の嘘を検証した『百田尚樹『殉愛』の真実』(宝島社)には、「さくら夫人と相原氏は、“たかじんマネー”でつながった利益共同体のようなもの」という大阪のテレビ局関係者の証言が掲載されていたが、ボーイズと相原社長はまさにたかじんの死後も、その利権のおこぼれにあずかろうとしていたのだ。
ところが、『殉愛』騒動でこうした実態が明るみに出てくると、ネットやたかじんの古い知人などから厳しい批判の声が上がり、読売テレビなどたかじんの冠番組を抱えていた在阪テレビ局は軒並み、番組からたかじんの冠を外し、さくら夫人と距離を取る方向で動き始める。そして、さくら夫人と一体化していた相原社長やボーイズも番組制作から外されるのではないかという見方が有力視されていた。
しかし、こと『委員会』を放送している読売テレビにかぎっては、ボーイズはまったく外されることなく、いまも『委員会』を牛耳りつづけている。
「ボーイズはたかじんの威光をカサに、読売テレビとズブズブの関係を築いている。番組方針もほとんどボーイズが決めており、局側はほぼ言いなりですからね。『殉愛』騒動のときも、一時は局内で、けじめのためにボーイズを外そうという動きがあったのですが、当時の山西俊之制作局長らボーイズと癒着している幹部が猛反対。取締役からさくら夫人を外すことを条件に、ボーイズに制作をつづけさせることで話がついたと聞いています」(在阪テレビ局関係者)
ようするに、ボーイズは読売テレビにとって、いち制作会社とは思えないような影響力と発言力をもっている存在らしいのだ。