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ICANノーベル賞授賞式でサーロー節子さん感動のスピーチも日本マスコミは無視! 普段は“日本スゴイ”が好物なのに

 核のない世界へ、光に向かって進みつづけよう──。節子さんのスピーチには何度も大きな拍手が起こり、さらには授賞式後、2000人以上の人びとがノーベル賞受賞を祝福するパレードに参加したが、そこでは「Yes!I can!」というコールが巻き起こった。ICANの受賞を喜ぶと同時に、核廃絶を「わたしたちにはできる」と誓う声だ。

 しかも、ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロ氏も、スウェーデン・ストックホルムでの記者会見において母親が長崎で被爆した経験をもつことにふれて、「冷戦終結後、核への関心が薄らぐ一方で危険性は高まっている。ノーベル平和賞が核の問題の重要性に再び光を当てたことは喜ばしい」と言及。ICANの受賞を言祝いだ。

 ICANの活動は日本の被爆者や市民団体が果たした役割が非常に大きく、授賞式にはICANのメンバーとともに広島・長崎の被爆者や広島市長、長崎市長も出席。すなわち、日本が世界から注目される大きな出来事だったわけだが、目を疑ったのは、日本のテレビメディアの伝え方だ。

 普段は「日本スゴイ!」が大好物であるはずのテレビのワイドショーをはじめ、ニュース番組でも、この話題をまったく取り上げなかったり、あるいはストレートニュースで消化したのだ。

 いや、もっと驚いたのは、NHKの姿勢だ。ノーベル平和賞授賞式から一夜明けた11日の『NHKニュース7』と『ニュースウオッチ9』が、揃って平和賞授賞式の話題を取り上げなかったのである。

『ニュースウオッチ9』のトップニュースは、アメリカ・カリフォルニア州で起こった山火事。つづいて元横綱・日馬富士が書類送検された話題をスタジオトークもまじえて伝えた。その後、ノーベル文学賞のカズオ・イシグロ氏の話題を取り上げたが、メインの内容は、小津安二郎の映画や『オバケのQ太郎』に影響を受けたというインタビュー。イシグロ氏は日本が過去とどう向き合うかといった問題についても語ったが、番組は結局、平和賞の授賞式やサーロー節子さんの演説には一切ふれることなく終了した。

 イシグロ氏もそうだが、日本のテレビはこれまでも米国籍など日本国籍ではないノーベル受賞者も「日本人」として括り、授賞式の大きく模様を伝えてきた。それはNHKも同様で、2014年に物理学賞を受賞した米国籍の中村修二氏を含む受賞者たちの授賞式の様子を、翌日の『ニュースウオッチ9』で取り上げていた。なのに、サーロー節子さんのことはまったく伝えなかったのだ。

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