しかし、安倍首相もさることながら、きょうの衆院予算委で醜態を晒したのは、3時間半もの質問時間を得た自民党議員だ。
まず、最初に質問に立った田村憲久議員は、モリカケ問題について、こう宣った。
「何もないことを証明するのは総理がおっしゃられる通り『悪魔の証明』ですから。赤いカラスがいるかいないか、これ、赤いカラスをいないと証明しようとするとすべてのカラスを捕まえなければ証明できないわけで、非常に難しい」
「どうか『悪魔の証明』ではありますけども、天使のようにですね、謙虚に誠実に、そして実直にお答えいただきたい」
「悪魔の証明」も何も、証拠となる文書は「破棄した」の一点張りのくせに、よく言えたものだと呆れるが、この田村議員の上をゆく安倍首相擁護を繰り広げたのが、つづいて質疑に立った菅原一秀議員だ。
菅原議員といえば、元愛人に「子どもを産んだら女じゃない」などという暴言、モラハラを繰り返していたことを、当の元愛人に「週刊文春」(文藝春秋)誌上で告発されたことも記憶に新しい“ゲス議員”のひとりだが、その菅原議員はきょうの予算委で森友・加計問題を取り上げた。
だが、これは「疑惑隠しはしていない」「ちゃんと質問している」というポーズをとるためだけのもの。現に、前述の音声データに対して菅原議員は「籠池夫妻が執拗に極めて威圧的な言い方で迫っている。そういう問い詰めに普通の人であれば気押されてしまって、非常にセンシティブになってしまう」と述べ、あたかも近畿財務局は籠池氏に脅迫された被害者のように一方的に説明。
また、菅原議員は音声データ問題の追及もそこそこに、「ここでちょっと話変えますけど」と言い出し、先日、情報公開された森友学園が財務省に提出した小学校の設置趣意書の話を唐突にもち出したのだ。
この設置趣意書については、朝日新聞が籠池氏の証言として「安倍晋三記念小学校」の校名を記したと今年5月9日付けの記事のなかで紹介。しかし、今回公開された設置趣意書には「開成小学校」と書かれていた。この問題を、先の選挙前に自民党広報副本部長に就任したばかりの和田政宗議員はネット上で〈朝日新聞は紙面を通じて籠池氏の嘘を拡散した形になりはしないか〉と猛批判。朝日の記事をもとに質問した野党議員に対しても〈偽メール事件に匹敵するような案件〉と述べ、こうした和田議員の主張を麻生太郎財務相も使い、「朝日新聞は書いてあるとあおった」「自分に都合の悪いところを隠すんじゃない。だから報道はゆがんでいるといわれるんだ」とバッシング。現在はネトウヨが嬉々としてそうした記事を拡散する事態となっている。
そして、きょうの国会でも、菅原議員はこう述べたのだ。
「この朝日新聞ではですね、籠池氏のこの発言、『安倍晋三記念小学校』とそのまま載せているんですよ。言ってみればフェイクの発言をそのまま載せるとフェイクニュースになるというような典型でありまして」
「野党のみなさんはフェイクの発言に基づいて質問したり、そういったことが結局間違った方向にミスリードしてきた」