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内田樹が喝破! 安倍独裁を受容する“株式会社マインド”の蔓延…「実行」「結果」と叫ぶ安倍首相、「独裁で何が悪い?」と冷笑する有権者

首相官邸ホームページより


「安定的な政治基盤の下で、政策をひたすらに実行せよ、これが総選挙で示された国民の意思であります」
「お約束した政策をひとつひとつ実行に移し、結果を出していく」
「政策の実行、実行、そして、実行あるのみであります」

 安倍首相は11月17日の所信表明演説に、8回も「実行」という言葉を入れ、国政トップとしての“実行力”をアピールした。強いリーダー像を示しながら現実的課題の克服を牽引する、そう誇示したのだろうが、一方で、解散前にはしきりに口にしていた「謙虚」「丁寧な説明」という言葉は、ついに一度も使わなかった。森友・加計学園問題の疑惑追及から逃れるために、身勝手な“大義なき解散”に出た安倍首相は、結果として大勝した選挙結果を盾に、国民から白紙委任状を取り付けた気でいるのだろう。

 ところで、今回の所信表明で使用回数が際立っていた「実行」という言葉以外にも、安倍首相が好んで演説に組み込む“キーワード”がある。それは「結果を出す」だ。たとえば今年1月の通常国会冒頭所信表明でも、安倍首相は都合6回も「結果を出す」という趣旨を繰り返した。

「必要なことは、実行です。結果を出すことであります」
「責任を持って財源を確保し、結果を出すことであります。安倍内閣は、言葉ではなく結果で、国民の負託に応えてまいります」
「ただ批判に明け暮れたり、言論の府である国会の中でプラカードを掲げても何も生まれません。意見の違いはあっても、真摯かつ建設的な議論をたたかわせ、結果を出していこうではありませんか」

 こうした言葉遣いから確かにわかることがある。安倍首相のいう「実行」とは、民主主義が要請する熟議、すなわち「過程」はさておき、ひたすらに「結果」を導くべしという意味に他ならない。そして、この首相の姿勢にこそ、“安倍独裁”と言われる現在の政治状況が端的にあらわれているのである。

 そう言うと、安倍首相の応援団やネット右翼たちは「安倍さんは総理だぞ! 何が悪い!」などと妄信的な反論をしかけてくるだろう。いや、ネトウヨだけではない。この国では、なによりもリーダーが「実行力」を発揮し、「結果を出す」かどうかが価値基準のすべてのように語られがちである。しかし、それは民主主義にとって致命的な陥穽だ。いや、むしろそうした「実行」と「結果」を求めるマインドが、主権者から民主主義の意識を剥ぎ取っている。そう言うべきだろう。

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