しかも問題は、このように雪だるま式に膨らんでいく「加計ありき」への疑惑だけではない。加計学園の獣医学部が新設される今治市のキャンパスについては、病原体を封じ込めることができないのではないかという疑問が噴出し、高病原性鳥インフルエンザの検査や実験・研究をおこなうのは難しいという見方も出ている。さらに、加計学園が高額な補助金を得るために建設費を水増ししているのではないかという疑惑までもち上がっているのである。
こうしたさまざまな角度から不正の疑いがありながら、安倍首相は野党からの臨時国会招集要求を3カ月も無視し続け、ようやく国会を開いたと思ったら冒頭解散するという解散権の濫用によって追及から逃亡。挙げ句、「丁寧に説明する」と言いながら昨日からはじまった特別国会では当初、質疑に応じない姿勢まで見せた。この態度が反感を買ったことで、結局、国会を12月9日まで開くことにしたが、実際は安倍首相にはトランプ大統領の来日や外遊日程が詰め込まれており、所信表明演説は今月17日。実質審議はたったの1週間程度しかないのではという見方も広まっている。
そして、安倍首相はついには、議院内閣制を完全に無視して野党の質問時間を削減するとまで言い出した。この暴挙もまた、森友・加計学園の追及を受けたくないという理由であることは明らかだ。
だが、繰り返すが、これだけの大問題になりながらも、2018年4月開学という「総理のご意向」は、今回の設置審判断によって完遂されたのである。国民からあがる疑問の声には耳も傾けず、いまなお、安倍首相はお友だちしか見ていないのだ。
森友・加計問題がこのまま有耶無耶になれば、安倍首相による政治の私物化を許したことになる。これは異常なことだという民意をいまこそ叩きつけなければならないだろう。
(編集部)
最終更新:2017.11.02 11:12