ネット番組『ちょっと右よりですが・・・』に出演する山口氏
フリージャーナリストの伊藤詩織さんからレイプ被害をめぐる民事訴訟を起こされている“安倍官邸御用ジャーナリスト”・山口敬之氏。今年5月の「週刊新潮」(新潮社)の記事以降、雲隠れを続けていた山口氏は、今月26日発売の月刊誌「Hanada」(飛鳥新社)と「WiLL」(ワック)で記者活動を再開した。
これを皮切りに、右派メディアは山口氏の“復帰”を次々とお膳立てをしている。たとえば、「私を訴えた伊藤詩織さんへ」なる山口氏の“独占手記”を公開した「Hanada」の花田紀凱編集長は、さっそく、10月28日収録の自身のネット番組『ちょっと右よりですが・・・』に山口氏を出演させている。
そこで山口氏は、またもや自らの持論と詩織さんへの批判を繰り返したのだが、花田編集長は「非常に説得力がある」などと徹底擁護。あげく、詩織さんに対して「だいたい酔っ払った女性イヤですよね。よく山口さんも世話したなあと思います」、「彼女がそういうふうに主張するのは、思い込みというか」などという個人攻撃まで展開したのだ。
しかし、本サイトの前回記事で詳しく指摘した部分以外にも、山口氏の主張の矛盾点や欺瞞はたくさんある。たとえば“詩織さんはデートレイプドラッグを盛られたのではなく、単に限界を超えて酒を飲み、アルコール性健忘症になっただけ”という主張だ。花田編集長の番組でも、山口氏はこのように言い張っていた。
「薬を入れてもいないし、意識がない人連れ込んだりもしてないし、彼女の意に反することは僕、何もあの夜してませんから」
「朝、記憶がないという一点で、私が犯罪行為をしたと言い切れないはずなんですよ。あらゆる人にアルコール性健忘は起こりえますから。自分が性犯罪被害者でない可能性あることを、彼女は捜査段階で知ってるんですよ。それなのに、僕が犯罪者だと断定している。これは、僕は誠意のある態度とは思いませんね」
いったいどの口で「誠意」などと口にできるのだろうか。そもそも、詩織さんが食事の夜、「泥酔して嘔吐」するほど酩酊していたことは、山口氏も認めている。また、ふたりを乗せたタクシー運転手が、詩織さんが「駅で降ろしてください」と何度も言っていたと証言した内容についても、山口氏は否定していない。つまり、少なくとも詩織さんが意識を朦朧とさせながらも帰宅したがっていたのは疑いないのだ。ところが、山口氏はこんなことを言って、自らの行動を正当化しようとする。
「『駅で降ろしてください』とご本人は言ったんだと思いますけれども、言ったからといって、泥酔して嘔吐している人を駅に捨てて帰ったら、逆にこれ“鬼”っていうか。危ないし。そういうご判断する方いないと思います。やむなく、やむなく、じゃあちょっとホテルで休んでもらうしかないんですよね。しょうがないからホテルに行き先を変えて、休んでいただこうということで。今考えてもそれは、それ以外選択肢なかった」