土地価格は国がすでに森友学園に支払っている1億3176万円を下回ることはできないが、0円にできるだけ近づけるよう努力している──。実際、このやりとりの後に不動産鑑定士は土地評価額を9億5600万円と算出。ごみ撤去費用を値引きし、土地売却価格は1億3400万円となった。池田国有財産統括官が明言した通りになっているのだ。
いや、それだけではない。今回のFNNのスクープでは、音声データだけではなく、工事関係者が「8億円値引きするということは最初から決まっていた」と証言。さらには“近畿財務局で40年以上国有地の売却などに携わっていた”という元職員も、「ほんとうにまずい処理だったというのは、複数のやっぱり(現役)職員から声が出てますね」と述べているのだ。
国側が不正な土地取引をおこなっていたことは、もうこれではっきりとしただろう。すでに7月にNHKが報じたように、近畿財務局は今回発覚した音声データの前後と思われる同年3月24日に、森友側の弁護士との協議のなかで〈いくらまでなら支払えるのか購入できる金額の上限を尋ね、学園の弁護士は当時の財務状況を基におよそ1億6000万円と答えた〉ことがわかっている。国側は森友学園に異常ともいえる配慮を繰り返し見せ、値引きのためのシナリオを実行に移したのだ。
他方、麻生太郎財務相は「適正な手続き、価格で処理された」と何度も言い切ってきたが、これはやはり真っ赤な嘘だったわけだ。さらに見過ごせないのは、佐川宣寿・財務省前理財局長(現・国税庁長官)の答弁だろう。佐川前理財局長は、3月15日の衆院財務金融委員会でこう答弁している。
「大阪航空局に埋設物の撤去・処分費用を依頼いたしまして、それを見積もって、それを前提にして、私どもは不動産鑑定にかけてございます。それを受けましたのが5月の末でございますが、いずれにしても、そういう価格につきまして、こちらから提示したこともございませんし、先方(森友学園側)からいくらで買いたいといった希望があったこともございません」
複数の音声データをはじめとする新証拠が発覚したいま、この答弁を振り返ると、よくもいけしゃあしゃあと口からでまかせを言ったものだとあらためて呆れはてる。だが、問題はここからだろう。今月末には臨時国会の召集がおこなわれる予定だからだ。
いくら北朝鮮問題で掻き消そうとしても、森友・加計問題はまったくの別問題。音声データによってあきらかになった土地の不当な値引きに国が積極的に関与していたことや、佐川前理財局長の嘘答弁など、あらゆる疑惑を追及しなければなるまい。臨時国会での徹底追及の再開が待たれる。
(編集部)
最終更新:2017.12.07 06:17