軍事力の差を考えれば、最終的に北朝鮮を“殲滅”することはできるかもしれないが、その間、北朝鮮による死に物狂いの反撃で、韓国と日本は甚大な被害を受けるのは確実なのだ。犠牲者の数は百万人以上、さらには1千万人になるとも推定されている。
こんな恐ろしい事態が現実になる可能性が高いにもかかわらず、まるでゲームのように上空から爆撃したらすべてを殲滅できると思い込んでいる連中の頭の悪さには呆れ果てるしかないが、じつは、こういうことを口にしているのは、無名のネトウヨだけではない。
最近、この「戦争なんて一発で終わる」というお花畑思考を全開にしたのが、経済評論家で、安倍応援団の圧力団体「放送法遵守を求める視聴者」の事務局長を務める上念司だ。
上念は、最近ウーマンラッシュアワーの村本大輔とAbemaPrimeで討論。村本といえば、『朝まで生テレビ!』で「国民には国を守る義務がある」と言う田原に「戦争に行かない年寄りに言われてもピンとこない」と毅然と反論し、終戦記念日には〈僕は国よりも自分のことが好きなので絶対に戦争が起きても行きません よろしく〉とツイートするなど、ここのところ反戦の立場を鮮明にしている。AbemaPrimeでの討論後、上念はその村本に対して〈どれだけ古い戦争を想定しているんだか、、、〉として、こうツイートしたのだ。
〈日本は海洋国家ですから、敵が侵略してくるなら海を越えてこないといけません。
自衛隊は水平線の向こうにいる敵を撃破します。
敵の潜水艦も対潜哨戒機で上からボコボコ。
今の戦争は相手の姿を見る前に終わっちゃうんですよ。
村本さんに召集令状が届く前に、「ポチッとな」で終わりなんです。
というか、そういう風に終わるような備えをしてないと絶対に負けます。〉
いまの戦争は「ポチッとな」で終わる……? 相手の姿を見る前に終わっちゃう? 一体こいつは何を寝ぼけたことを言っているのか。だったら上念に聞くが、トランプ大統領を筆頭に、あれだけ好戦的なタカ派政権幹部が揃ったアメリカがなぜ、北朝鮮への空爆をしないでいるのか。
それは、国際社会に配慮しているからではなく、いったん北朝鮮との戦争がはじまってしまえば、「ポチッとな」ではまったく終わらず、自国も多大な犠牲を払うことになると認識しているからだ。