日野皓正『ニューヨーク・タイムズ』(ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル)
先日よりワイドショーを騒がせ続けているジャズミュージシャンの日野皓正による暴行騒動。すでに報道されているとおり、日野は2005年より世田谷区教育委員会が主催する体験学習で講師として区内の中学生らを4カ月間にわたって指導してきたが、8月20日におこなわれた発表会「日野皓正 presents “Jazz for Kids”」で、ドラムソロを長くとった少年に対し激高した日野が、少年の髪を掴んで揺すった挙げ句、往復ビンタを食らわせた事件だ。
どんな理由があれ、大人が中学生の少年に対して暴力を振るうなど言語道断。しかし、驚いたことに、ネット上では「指示に従わなかった中学生が悪いよね」「言って分からなければビンタ位はあり」などと日野を擁護する意見が溢れた。
しかも、それはテレビにおいても同じだった。
たとえば、8月31日放送の『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)では、梅沢富美男が「人前で日野さんが叩くなんて、おかしいじゃないですか。僕だってやりませんよ。よっぽどだと思います」「見ればわかりますよ。スティックとられてもまだ叩いてるんだから。それは舐めてますよ」と中学生の少年を非難。
また、9月3日放送『ワイドナショー』(フジテレビ)では、バカリズムが「あれ、何で止めればよかったのかなって」「たとえばハリセンとかならショーになるじゃないですか。でも、それで止めるとは思えないし」と、“あの状況ではやむなし”と肯定。「同じバンドメンバーだったとしたら、先生が止めなかったら、裏で殴ったかもしれない」と話した。
同じバンドのメンバーが楽屋で喧嘩になるのと、指導者の大人が、よりにもよって舞台上で少年に暴力をふるうのとではまったく意味が違うが、そんななかでも、もっとも強く体罰について語ったのは、松本人志だった。
松本はこの『ワイドナショー』で、“日野に叩かれたことによって少年が反省しているのなら指導として正しかった”と述べ、さらには“自分たちの世代は体罰を受けたが、なぜいまは体罰はありえなくなってしまったのか”と、体罰がいけないという社会の考え方そのものに疑義を呈しはじめた。