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横田一「ニッポン抑圧と腐敗の現場」20

保守分裂の茨城県知事選で自民が背水の陣 原発再稼働反対の現職知事がアベ官邸のやり口や口利きを告発する異例の展開に

 8月18日、茨城県守谷市。自民党の加藤勝信・厚労大臣と公明党の石井啓一・国交大臣が自公推薦候補の大井川氏の応援に駆けつけた。経産官僚から民間企業に転身した同氏の経歴などを披露しながら支持を訴えたのだ。しかし大物応援弁士も候補者本人も、争点として急浮上した原発再稼動については一言も語らなかった。

 現場にいた公明党県議に「なぜ原発問題に触れないのか」と聞くと、こう言い切った。

「自民党に金と組織を丸抱えしてもらっている大井川候補が原発問題に触れられるはずがない。出馬会見では住民投票に意欲的だったが、自民党に反対されてトーンダウンしてしまった。ただし『(東海第二原発再稼動について)県民の声を聞く』と公約に掲げているのだから、その具体的方法、住民投票をするのかアンケート調査をするのかについて街宣で話して欲しいと思う。私はアンケート調査がいいと考えていますが」

 なお橋本現知事と良好な関係を続けていた公明党県本部は4月から2カ月以上にもわたって、大井川氏の推薦依頼への対応を保留していた。現職と新人の両方に“保険”をかける一種のサボタージュ作戦のように見えたが、自民党が歴史的敗北を喫した都議選の後、事態は急展開をしていった。7月13日に公明党本部から県本部に「自公連携の中で自民党が推薦する大井川を推薦できないか検討してほしい」との打診があり、急遽、大井川氏との政策協議や県本部所属議員の了解の手続きが進み、5日後の18日に公明党本部が推薦を決定したのだ。

「公明党と都民ファーストが組んで自民党を惨敗に追い込んだことで、自公の関係は悪化。次期総選挙で公明党現職議員を自民党が応援しないという事態の恐れもあった。そこで公明党本部は、茨城県知事選で大井川候補を推薦、自民党との関係修復にはかろうとしたのは明らかだ」(永田町ウォッチャー)

 原発政策を曖昧にした公明党本部主導の“野合的推薦”といえそうだが、実際、告示日に大井川氏を直撃しても曖昧な回答しか返ってこなかった。

 一方で大井川氏は、橋本氏の再稼動反対発言について「大事な原発の問題を選挙の道具にした」と批判。また再稼動反対の鶴田氏も街宣で「選挙が近づいて急に再稼動反対を言い出した」と同じ主旨の訴えをしていた。

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