原発政策でも橋本氏は、自民党の違いをより鮮明にした。日本原子力発電の「東海第二原発」(東海村)の再稼動に対して慎重な姿勢を示していたが、10日の告示日には「東海第二原発再稼動に反対」と踏み込んだのだ。もちろん「県知事選が近づいたから急に再稼働反対と言い始めた。選挙対策だ」との疑念や批判の声もある。だが、すでに共産党などが推薦する鶴田真子美候補が再稼動反対と廃炉をいち早く訴えていたことから、「再稼動反対の現職と新人の2候補VS原発推進の安倍政権直系候補」という対立軸も急浮上することになったのだ。
一方、自公推薦の大井川氏は、原子力ムラの“総本山”といえる経産省出身。原発推進の安倍政権中枢の菅義偉官房長官が擁立に尽力したとみられており、官房長官会見でも茨城県知事選についてコメントをするほど重要視している。そして大井川候補は「6期24年間の現職知事の7選阻止」を旗印に、若さ(フレッシュさ)を全面に打ち出していた。
「茨城は変わらないといけない。(橋本知事6期)24年間のこれからの延長ではなく、新しい発想でこの人口減少や少子高齢化、どんどん新しい問題が来る茨城県に、諦めずに変わらない勇気で戦う。行政の経験もあり、民間の経験もあり、グローバル企業の経験もあり、日本のベンチャーにも経験がある。そんな多様な引き出しがあり、ヤル気と若さと実行力のある、そういう人間が今こそ茨城には必要です」「他の県の横並びを見ていては駄目。真っ先に挑戦して音頭を取って民間の経営感覚を取り入れた新しい県の行政を私が作ります」(告示日の日立駅前での街宣)
しかし原発問題に限って言えば、多選で高齢の橋本氏が新しい政策(原発再稼動反対)を打ち出し、20歳も若い新人の大井川氏が古き原発推進政策を否定しないという逆転現象が起きていた。
原発政策だけではない。自民党が得意とする口利き政治についても橋本氏はこう批判した。
「僕が初めて知事になった頃は公共事業でも(自民党国会議員の)口利きが沢山ありました。そして県庁も議会も忖度、『(国会議員の)先生はこういうことを考えているからこういうふうにしないといけないのではないか』といろいろなことがありました。そういったことをやっと無くしたのです。それを昔に戻しては非常に困るわけです」(古河駅前での街宣)