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オードリー若林が新自由主義へ疑問を抱きキューバ旅行…若林がキューバで感じた競争社会への向き合い方とは

 そこで、このキューバ旅行計画が生まれてくる。現代の日本人とは違い、人生を「勝ち組」「負け組」などと簡単に二分してしまうような価値観を持ち合わせていない人々はいったいどんな暮らしをしているのだろうか? 若林はそれを見に行ったのだ。

〈では、これがただのシステム上の悩みだったとして、他のシステムで生きている人間はどんな顔をしているんだろう? 東京も、ニューヨークも、ソウルも、台北も、スターバックスとマクドナルドがあって、みんな同じ顔をしていた。
 とにかく、このシステム以外の国をこの目で見てみないと気がすまない。このシステムを相対化するためのカードを一枚手に入れるのだ。〉

 若林はハバナの革命博物館やカバーニャ要塞やチェ・ゲバラの住んでいた邸宅といった一般的な観光地から、現地の人々が通う闘鶏場などのディープな観光スポットを色々な人の助けを借りながら巡っていく。そのなかで事あるごとに感じたのが、無償の思いやりやサービスだった。東京でも高い質のおもてなしはあるが、しかしそれはあくまでも仕事であり、タダではない。それ相応の金額が発生するから高い質のサービスが生まれるのだ。でもキューバでは違った。その一例として若林は、闘鶏場に連れて行ってくれた現地の人とのこんなエピソードを綴っている。

〈こっそりと今日一日キューバを案内していただいたお礼をお渡ししようと試みたのだが、Lさんはぼくの肩に手を置き「何を言ってるんだ、僕たちもマサのおかげで休日を楽しめた!」と言ってそれを受け取らなかった。
 エダジマも「本当のキューバを知ってもらって嬉しかった。俺は日本は遠いから行かないぜ!」と言ってニカっと笑った。
 真心がダイレクトボレーで飛んできてぼくの心の網を揺らした。心と心が通じ合った手応えにぼくは胸をふるわせていた。それと同時に、サービスをお金で買わない感覚に鈍くなっている自分にも気づいた。〉

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