青山センセイはお仲間の櫻井サンと「偏向メディア」の話題に花を咲かせていたのだが、そのなかで「加戸証言からいままで報道されざるシンプルな事実が出てきた」としたうえで、加計問題を「野党と一体となったメディア」による「捏造された疑惑」と断言。そして、閉会中審査での質問同様、新聞もテレビも加戸氏の発言を「なかったことにしている」と主張したのだ。
そして、この番組で青山氏が具体例のひとつとして名指ししたのがNHKで、こう断言した。
「生中継しながら、夕方以降の編集されたニュースになると加戸守行元愛媛県知事をいないことにした」
さらに、青山氏はこう啖呵を切ったのだ。
「これは、19年ぐらい共同通信記者やった僕から見ても、メディアの劣化ってよく言われるけど、これ完全にメディアの終わった日を自分で演出しましたね、7月10日というのはね」
“メディアの終わった日”などという言い方がいかにも青山センセイらしいが、終わっているのは青山センセイのほうである。実は、青山センセイがドヤ顔で言う「NHKは加戸氏をいないことにした」というのは、まったくの事実無根だったのだ。
実際、本サイトでも10日当日のNHK『ニュース7』を改めて調べたところ、番組では、前川氏と山本幸三地方創生相の言い分を同じくらいの尺で報じたうえで、「また、参考人して出席した前の愛媛県知事の加戸守行氏は次のように述べました」として、VTRつきで加戸氏の主張を紹介。国会での「20年前に、愛媛県民のそして今治地域の夢と希望と関心を託して、チャレンジいたしました」「岩盤にドリルで、戦略特区が穴を開けていただいたということで、ゆがめられた行政がただされたというのが正しい。いま、本当にそれを喜んでおります」という“熱弁”をごく普通に放送していた。
加えれば、同じ日の夜の民放キー局のニュース番組でも、やはり加戸氏の発言を映像とともに報じていた。日本テレビ『NEWS ZERO』、フジテレビ『ユアタイム』はもちろん、青山センセイと櫻井よしこサンが目の敵にする朝日テレビの『報道ステーション』やTBS『NEWS23』もだ。
ようするに、青山センセイはまったくのガセを前提に、国会でも「加戸氏はまるでいなかったごとくにマスコミに扱われた」とがなりたてたのである。
また、仮にマスコミが加戸氏の発言を積極的に取り上げていなかったとしても、いったいそれの何が問題なのか。