公共の電波を使い、曲がりなりにもジャーナリズムの一翼を担うメディア企業がコネ入社を許しているというだけでも問題だが、幹部の独裁支配や保身、私利私欲に使われているとは、もはや開いた口がふさがらない。
もっとも、このコネ入社は同局を確実に蝕んでいるようだ。前掲書は、フジの元人事担当幹部のこんな証言を掲載している。
「1万人受験して30人採用のところ、成績が9000番台の者が平気でコネだけで入社してくる。毎年、少なくない人数になるし、現実に不祥事を起こす率も高い。さらに怖いのは、年数が経てばそういった人物がそれなりのポストに上がっていくことで、組織に与える打撃も大きくなる」
フジテレビといえば、『ワイドナショー』においてネットユーザーがネタとしてつくった宮崎駿監督の創作発言を監督本人のものとして紹介したり、『ノンストップ!』で実在しない味のガリガリ君を紹介したりと、番組の制作態勢に疑問の声があげられている。また、露骨に政権寄りな報道姿勢もしばしば問題として挙げられている(ご承知の通り、日枝氏は首相動静にもしばしば登場する安倍首相のゴルフ仲間でもある)。
これからも「院政」が続くようであれば、凋落の背景にあるこういった諸問題も解決に向かうのは難しく、視聴率回復云々などのぞむべくもなさそうだ。
(編集部)
最終更新:2017.12.05 07:58