さらに上西議員は、共謀罪による警察の権限拡大についてもこう疑義を呈した。
「現実に警察白書を見ると、刑事犯罪の認知件数は2002年285万件、そして昨年は99万件なんですね。大幅に減少している。それにもかかわらず監視を強化させる、警察の権限を増大させる必要がどこにあるんでしょうか?」
バラエティ番組などでは素っ頓狂な発言も多い上西議員だが、この質問は、本質をついたものだといえるだろう。共謀罪が成立すれば、政府批判をしただけで「テロ準備」として監視対象になり、抵抗すると公務執行妨害で逮捕されてしまう、そんな体制ができあがってしまう。上西議員は「安倍総理と自民党が考えそうなこと」と言っていたが、まさにこれこそが、安倍政権の狙いなのである。
しかし、この上西議員の懸命な追及にも、金田法相や盛山法務副大臣はまともに答えようとせず、自民党や公明党の委員も冷笑的な対応に終始した。上西議員はそんな金田法相や自民党の委員たちに、こんな言葉も投げかけている。
「自民党の皆さん方は、これがテロのためだって自分自身をも騙してるんじゃないかなというふうに、テロのためだけの法案だということで、自分たちをも騙してるんじゃないかというふうに私は思っています。本気でこれがテロ対策だなんて思っている議員は、私ははっきり言ってお気楽な議員だと思います。で、今回の共謀罪は結局野党が何を訴えても、そしてですね、与党が何も考えなくても、この法案は強行採決でどうせ成立させられてしまうんだと思います。こういうふうな状況に関して、いまこの法務委員会にて、共謀罪を成立させようとしている委員はやっぱり恥ずべきだと思っていますし、金田大臣もこの法案を成立させた大臣として、この法案を成立させてしまえば歴史に名を残す悪大臣になってしまうと思いますけれども、その覚悟はあるんでしょうか?」
正直、上西議員が共謀罪に対して、ここまで理路整然と鋭い追及ができることは思わなかった。テレビでの東国原英夫とのくだらない口喧嘩やツイッターの炎上ばかりが取り上げられる上西議員だが、マスコミはこの共謀罪問題で、上西議員をコメンテーターに使ってみたらどうなのか。テレビ界では“数字をもっている”ともいわれる上西議員、少なくとも盛り上がらない共謀罪批判に火をつける役割を果たしてくれるような気がするのだが……。
(編集部)
最終更新:2017.12.01 04:19