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トランプのシリア先制攻撃を全面支持した安倍首相の支離滅裂! 裏でアサド政権に資金協力しながら

 ところが、トランプ政権はこうした議論を一切すっ飛ばし、具体的な証拠を提示することもないまま、だまし討ちのように先制攻撃を仕掛けたのだ。

 これによって、化学兵器問題を外交カードにしてアサド包囲網をつくることも、ロシアを化学兵器の真相調査の枠組みにひきずりこむことも不可能になり、逆にロシアにアサド政権擁護の口実を与えることになった。シリア情勢じたいも、今後は、米国とロシアの代理戦争状態に突入するのはもちろん、勢力が減退しつつあったISもこれに乗じて復活するなど、混迷・泥沼化に拍車がかかるのは確実だろう。

いったい、トランプ政権はなぜ、こんな横暴をやらかしたのか。そもそも、トランプ政権は一貫してアサドの退陣を求めてきたオバマ政権時代の方針を転換。IS壊滅を最優先するとして、ロシアと共同歩調をとりアサド政権に容認的な姿勢を示してきた。つい1週間前には、ティラーソン米国務長官が訪問先のトルコで「アサド氏の長期的な地位はシリア国民が決めることだ」。ヘイリー国連大使が「われわれの優先課題はもはや腰を据えてアサド氏を追放することではなくなった」などと述べていた。

 それがいきなり、180度方針転換をしたのは人道的な動機などではもちろんない。

 トランプ大統領は就任以来、支持率が歴代最低クラスに低迷していることに激しい苛立ちを見せていた。そこに、今回の化学兵器使用問題が勃発したため、シリアへの軍事行動をとどまったオバマ大統領との違いを見せつけ、支持率アップを狙おうと、いきなりの先制攻撃パフォーマンスを展開したのである。ブッシュ大統領がイラク戦争を始めた途端、支持率が大幅に上昇したことも明らかに意識していたはずだ。

 さらに、この行動の背後には石油メジャーの意向も見え隠れしている。周知のように、ティラーソン国務長官は石油メジャー最大手のエクソンモービル前CEOだが、このシリア攻撃で米国内の原油価格は急騰、石油メジャーには莫大な利益がころがりこんだ。つまり、石油メジャーが支えるトランプ政権が自分たちの利益のために中東で紛争を起こすチャンスをずっとうかがっていたのではないかというのだ。

 いずれにしても、トランプ政権のシリア先制攻撃は国際社会の安定という目的とは何の関係もない。自らの政権維持のために、さらなる混乱の原因となるような暴挙を犯したのだ。

 ところが、安倍首相は冒頭で指摘したように、どこの国の首脳よりも早くこの軍事行動を全面的に評価した。安倍首相はその理由として、「極めて非人道的であり、国連決議にも反する」とアサド政権を厳しく批判したが、ならば、自分たちのこれまでのアサド政権への協力姿勢をどう説明するのか。

 たとえば、昨年12には日本を除くG7の6カ国がアサド政権とロシアに対する非難声明を出した際、日露首脳会談を控えていた安倍政権はロシアの顔色を伺ってこれに参加すらしなかった。

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