その態度は否定しないが、ほんとうの問題はそこにはない。じつは「週刊新潮」が問題にしていたのは、細氏が参院選への出馬を考えたものの前歴から断念し、その代わりに氏の10年来の知人であるドッグトレーナーの田辺久人氏に出馬を依頼。細氏から田辺氏を紹介された昭恵夫人が、参院選の自民党候補者として田辺氏を“推薦”し、その結果、自民党は田辺氏を公認したことのほうだ。
だが、同誌は翌週号でも続報を行い、田辺氏が「犬の躾と女の教育は同じだ」と豪語していたことや、氏が運営するドッグスクールの訓練生に対する暴行やセクハラ、性行為の強要といった疑惑を掲載。この報道を受けて、自民党は氏の公認を取り下げている。
しかもこのとき、自民党はもうひとり昭恵夫人の人脈で公認を出している。それは東京プリンの伊藤洋介氏だ。
伊藤氏は山一證券の社員時代に秋元康プロデュースで「シャインズ」としてCDデビュー。そして、シャインズが「ハイチュウ」のCMに出演していた縁から、伊藤氏は森永製菓へ転職。そうした繋がりから昭恵夫人とは仲が良く、一緒にラジオ番組のパーソナリティを務めていたこともある。ようするに、自分の“お友だち”を自民党に推薦し、公認を出させていたのである。ちなみに伊藤氏は2013年7月と16年7月の参院選に自民党公認で比例から出馬したが、ともに落選している。
当時、「週刊新潮」の取材に、昭恵夫人は「2人とも私の知り合いで、自民党には“私の友人よ”ということくらいは言ったかもしれませんが、推薦というか、押し込んだということはありません」と答えているが、一方で自民党関係者はこうコメントしている。
「自民党で働く職員にとって、昭恵さんは“社長夫人”です。彼女が参院選の候補者選びにおいて“この人どうかしら?”と提案してきたら、それがどんな人物であれ、断ることはできませんよ」
言うまでもなく選挙において政党は、公認候補を出すにあたって公的な責任を帯びる。そして、公認料などの選挙費用は政党助成金から賄われており、その原資はほかでもなくわたしたちの税金だ。にもかかわらず、「安倍総理の妻」という立場を利用し、「私の友だちよ」の一言で公認を取り付けているのである。
総理という立場を悪用して人事を自分のお友だちで固める夫と、お友だちの頼みを引き受け、省庁や政党に忖度を引き出す妻。──“似た者夫婦”といえば聞こえがいいが、安倍夫妻がやっていることは「政治の私物化」だ。この悪徳夫婦を野放しにしていていいはずがないだろう。
(編集部)
最終更新:2017.11.24 06:08