『ニュース女子』HPより
『ニュース女子』(TOKYO MX/DHCシアター制作)の沖縄ヘイトデマ放送問題は、放送から1カ月以上が経った現在でもその波紋が広がり続けている。
1月27日には反対運動を煽動しているなどと名指しされた「のりこえねっと」の辛淑玉共同代表が記者会見を行い、BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送人権委員会への申し立てを発表。法務省の人権擁護機関への救済申し立ても行われる予定だという。また、MX本社前では市民による番組に対する抗議集会が開かれ、多くの著名人が番組を批判している。
そんななか、『ニュース女子』の司会を務める長谷川幸洋氏をめぐっても大きな動きがあった。長谷川氏は東京新聞論説副主幹という肩書きをもっているのだが、所属の東京新聞が今日の朝刊でこの件についての謝罪を出したのだ。
一面トップに掲載されたこの謝罪文は〈本紙の長谷川幸洋論説副主幹が司会の東京MXテレビ「ニュース女子」一月二日放送分で、その内容が本紙のこれまでの報道姿勢および社説の主張と異なることはまず明言しておかなくてはなりません。加えて、事実に基づかない論評が含まれており到底同意できるものでもありません〉としたうえ、〈他メディアで起きたことではあっても責任と反省を深く感じています。とりわけ副主幹が出演していたことについては重く受け止め、対処します〉と宣言するものだった。
たしかに、東京新聞のスタンスと今回の長谷川氏の行動の乖離を考えると、こうした対応は当然ともいえる。東京新聞といえば、萎縮しきったメディア状況のなかで、果敢に政権批判を行い、原発や安保法制、TPP、そして沖縄の基地問題についても“市民目線”の報道姿勢を続ける数少ない新聞社。2016年にプレジデント社が調査した外国人記者による「日本のマスコミ信頼度ランキング」では 2位に大差をつけてトップの評価を得たメディアでもある。
ところが、その新聞社の論説副主幹という肩書きをもつ長谷川氏がDHCという極右番組で司会を務め、沖縄ヘイトデマを拡散するフェイクニュースのお先棒を担いでいたのだ。しかも、長谷川氏はたんに司会を務めていただけでなく、問題の1月2日の放送中には、軍事ジャーナリストの井上和彦氏のデタラメな沖縄取材やその解説に、うなずいたり、嬉しそうに同意し、また、沖縄地元紙を揶揄するような発言も行っていた。
同紙には読者からの批判も殺到し、執筆陣である政治学者の山口二郎氏や作家の佐藤優氏も東京新聞紙上で長谷川氏と長谷川氏を論説副主幹にしている同紙の責任について言及していた。
「こうした批判に、東京新聞としても見過ごすことはできなくなったということでしょう。おわびだけでなく、長谷川氏を論説副主幹から退任させることも決めたようです。もともと長谷川氏は会社はすでに定年になっていて、委嘱契約だったのですが、今年度限りで契約を更新しないというかたちにするのではないかと言われています」(東京新聞関係者)