歴史修正主義や極右思想をもっている、あるいはヘイト的行動に関与していると思われる会社や経営者をリストアップし、五つ星で評価する経済界ウヨ&ヘイトミシュラン。前編に続き、後編も4社を紹介しょう。超大企業のトップから極右で有名なあの企業まで。うんざりするかもしれないが、これが現実だ。
●JR東海
名誉会長は在特会のヘイトデモを擁護していた“安倍晋三のブレーン中のブレーン”
極右度 ★★★★
影響度 ★★★★★
極右財界人といえば、やはりJR東海の“天皇”として君臨してきた葛西敬之代表取締役名誉会長を抜きには語れないだろう。しかも、葛西氏は安倍首相に近しい財界集団「四季の会」とその流れを汲む「さくら会」を主催する親米保守論客で、第一次安倍政権下の2006年には国家公安委員や教育再生会議委員に就任し、その後の首相再登板も猛烈に後押しした、安倍晋三の最大のブレーン。その政治力や、実に政権を介してNHKの会長人事すら左右するといわれる。
事実、葛西氏は安倍が当時自民党の幹事長代理だった2005年、「Voice」(PHP研究所)で対談しているのだが、そのなかでも安倍に対し、思想面や歴史認識に関してこう助言していた。
「靖国神社の問題は日本人の『心』に関わる問題です。それを『国家と国家』の問題として扱うことが、そもそもおかしいのです」
「(前略)日本は、六十年前で足を止めている歴史観に揺さぶられる必要はない。われわれは六十年間、努力してきたし、実績も上げてきた。これからも努力していく。『私たちは将来の日中関係について、安定的であることをいちばん大切だと思っている』と、堂々と述べればいいのです」
まるで、安倍の靖国神社に対する姿勢や、2015年の戦後70年談話などで繰り返している「未来志向」という名の“歴史忘却作戦”の元ネタかと見紛うばかりだ。そして、この安倍との対談から5年後には、親米反中を唱えるタカ派・葛西氏の極右性が、グロテスクな差別主義としてあらわになったこともあった。
国家公安員委員会の記録によれば、葛西氏が委員であった2010年9月、定例会議のなかで、「極端な『民族主義・排外主義的主張』に基づき、『外国人参政権反対』などと訴える市民運動」(=在特会などのヘイト団体)の話題になった際、「『右派系』と言うより、『極右系』と呼称すべきなのではないか」と言った委員長に対して葛西氏が噛みつき、こうした旨の意見を述べたという。
「『極端な民族主義・排外主義』と言えるのか」
「これからはこのようないわゆる『声なき声』を取り上げる形でインターネットによる情報交換が出てくる。このグループについては、『極右』と呼ぶべきものではないと思う。(略)事前に、よく実態を知り、適正に評価することが大事なのではないかと思う」
つまり、国家公安委員会委員として、完全な排外主義とヘイト運動に対し、極めて肯定的な発言をしていたのだ。ありえないとしか言いようがない。
しかも、おそろしいのは、第二次安倍政権以降も葛西氏の安倍政権への影響力が衰えを知らないところだ。首相動静によれば、第二次安倍政権以降だけでも安倍首相と少なくとも36回は直接顔を合わせており、前述のように、NHK会長人事への介入も取り沙汰された。また、15年には日本会議のフロント改憲団体「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の代表発起人にも名を連ね、いよいよ、安倍首相とともに戦前復古的な改憲へ邁進するらしい。「極右度」はトップクラスの★4、「影響度」は文句無しで★5とするのがふさわしいだろう。