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室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第1回ゲスト 金子勝(前編)

室井佑月が経済学者・金子勝に訊く! このまま安倍政権が続いたら何が起きるのか、その恐怖のシナリオとは?

室井 でも、そのわりには、見せかけですら景気がよくなっていない。不動産だって、もっと高くなったりするかと思ったけど、たいしたことない。

金子 不動産はもうアップアップ。東京都心では昨年11月くらいでピークアウトしている。だから今、福岡の天神とか、仙台とか、札幌の真ん中とか、そういうところに波及してる段階だ。逆に、こんなに金をつぎ込んでもこの程度だから、破綻はかなり早い。たぶんオリンピック前に、危ない局面がくる。

室井 でも、安倍さんは認めないんだろうな。逆にオリンピック使ってごまかそうとするんじゃない? マスコミを使ってオリンピックキャンペーン張って、「テロもあるし緊急事態条項が必要だ」とか言って。

金子 もうひとつ危ないのは、アメリカのいまのドル高・超高金利だ。日本の大手銀行も政府も、みんな外国債や海外投資に逃げていく。もう抜けられないところへどんどん突っ込んでいって、逆に地方は投資がまったくなくなって疲弊しきっていく。

室井 円安で株価はあがってるけど、もうかるのは、巨大輸出企業だけだもんね。

金子 その輸出産業もやばいよ。原発輸出だってトルコ、ベトナム、台湾、みんなだめになってる。安倍政権の成長戦略化けの皮全部剥がれている。たとえば東芝はセンサーや白物家電、医療機器などこれから伸びる商品を全部やめて、国家に頼って原発と半導体とインフラ事業に特化した。CB&Iという、ウェスティングハウスの買収の損失に加えて、原発建設関連の会社を買収したが、損失が5000億円になりそう。死に体だね。三菱重工はサンオノフレ原発で訴訟を受けて、9000億円もの賠償請求を受けて、100億しか払わないで揉めてる。日立も英国でコスト高の原発計画に突っ込んでいる。

室井 それって、もとをたどれば、安倍さんの無責任な原発政策のせいだよね。第一次安倍内閣の時、安倍さん自身が「原発の全電源喪失はない」と国会答弁していたわけでしょう。それが福島原発事故を招いたともいえるのに、まったく反省の色がなく、原発再稼働に邁進していった。その時、原発行政の責任者の経産相だったのが甘利明さん。なのに、事故直後にその責任を問われて、テレビ東京の取材で「日本なんてどうなってもいい、俺の知ったこっちゃない」って言ったんだよね。でもこの発言、全然大きいニュースにならなかった。

金子 甘利元経産相はテレビ東京を相手取って名誉毀損裁判を起こしたからね。みんなびびって報道しなくなった。しかも、一審判決では、テレ東が敗訴したでしょ。その判決を出した都築政則裁判長が、その後、前新潟県知事の泉田裕彦への脅しとして新潟地裁に異動し、柏崎刈羽原発関連の訴訟を指揮した……。

室井 なんだそれ。結局、裁判所も原発と安倍政権の味方なんだよね。

金子 とにかく、安倍政権は福島原発の事故については完全に責任をほおかむりして、第二次政権では、原発再稼働路線にひた走った。東芝も三菱重工も日立も結局、国家の事業にかなり依存して生きてるから、そのまま突っ込んでいっちゃった。

室井 でも、それがいまどんどん破綻してるんだもんね。このままいったら、東電だけじゃなくて、こういう原子力産業にも私たちの税金が使われるようになるんじゃない。

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