安倍晋三公式サイトより
25日の衆院厚生労働委員会につづき、本日、衆院本会議で公的年金改革法案、いわゆる年金カット法案が強行採決された。25日の同委で安倍首相は野党からの問題指摘に対し「それで民進党の支持率が上がるわけではないんですよ!」と言い放ち、挙げ句、「私が述べたことを理解いただかないなら何時間やっても一緒だ」と独裁者丸出しの暴言を吐いたが、それを反省するでもなく、きょうもまた強行採決。もはや安倍首相は、反対意見など無視してなんでも強行採決で通してしまうつもりなのだろう。
しかし、この年金カット法案は、現在、年金を受給する高齢者たちにとっては死活問題だ。
今回の法案は、物価と賃金で下落幅がより大きいほうに合わせて年金も減額するというもので、民進党の試算では年金支給額は現在よりも5.2%も減少。2014年のデータにこの新たなルールを当てはめると、国民年金は年間約4万円減、厚生年金ではなんと年間約14.2万円も減るという。
何度もお伝えしているように、安倍政権はこの4年のあいだに公的年金を3.4%も減らし、医療面でも70~74歳の窓口負担を2割に引き上げるなど高齢者の生活に追い打ちをかけてきた。
それだけではない。昨日明らかになった2017年度から予定されている公的医療保険制度の見直し案では、70歳以上の医療費自己負担上限を、住民税を支払う全員を対象に引き上げるとした。たとえば、約1200万人いる年収約370万円未満の所得層も、外来で月額の自己負担額上限は1万2000円だったが、来年8月からは倍の2万4600円に引き上げる。しかも、年金が153~211万円という低所得層への所得に応じた保険料5割軽減という特例も廃止するという。こうした見直しによって、国は350億円を浮かせるらしい。
医療費見直しや年金カット法案といった高齢者への社会保障の厳格化は、一体、何をもたらすのか。NPO法人ほっとプラス代表理事で、『下流老人 一億総老後崩壊の衝撃』(朝日新書)の著者である藤田孝典氏は、25日の厚労委で参考人として法案反対の立場から、「65歳以上の高齢者の相対的貧困率は18%」という高水準にあること、そしていま、高齢者は「相当、生活が逼迫されている」と説明した。