安倍晋三公式サイトより
まさにどさくさ強行採決というしかない。本日、安倍政権が衆院厚生労働委員会で公的年金改革法案、いわゆる“年金カット法案”を強行採決した。
この法案は、物価と賃金で下落幅がより大きいほうに合わせて年金も減額するというもので、年金支給額は現在より5.2%も減少。国民年金は年間約4万円減、厚生年金ではなんと年間約14.2万円も減るという。安倍政権は、年金運用の方式を変えた結果、わずか15カ月で10.5兆円の年金をパーにしてしまったが、その責任をとることなく国民にツケを回そうとしているのだ。
しかも、そのやり口も卑劣きわまりないものだった。衆院厚労委でこの法案が審議入りしたのは11月4日、ちょうどTPP承認案および関連法案を衆院TPP特別委員会でだまし討ち強行採決した日だ。TPP法案は13時から衆院本会議で「パリ協定」の承認案を採決する予定だったが、衆院TPP特別委委員長である塩谷立元・自民委員長職権で本会議後に予定されていた特別委をいきなり開催。自公の賛成多数で可決してしまったのだが、実は同じ日に衆院厚労委でも、野党の反発のなか、委員長職権で審議入りしてしまった。
その後、TPP法案の余波で審議がストップして、年金カット法案についてはろくな審議も行われていない。そのため野党は徹底審議を求めていたが、またも与党は委員長職権で本日の大臣質疑を決定。一気に強行採決にもっていったのだ。
さらに、である。本日の同委に出席した安倍首相は、野党が法案の不安を煽っているとし、こうがなり立てた。
「みなさんの信用が上がることはありませんよ。はっきりと申し上げとくけど! それで民進党の支持率が上がるわけではないんですよ!」
法案の問題点が追及されているのに、なぜか「支持率」をもちだす。……逆に言えば、この総理は支持率のために政治をやっているのか?という話だ。
だが、どうやらこれは安倍首相の偽らざる本音だったらしい。今回の強行採決について、自民党関係者はこう語る。
「マスコミが朴槿恵大統領のスキャンダルや、トランプの話題でもちきりですからね。支持率も上がっていますし、いま、強行採決をしても国民から反発を受けないから、一気にやってしまえ、ということだったんでしょう」