この離婚届は不受理となったが、あまりの不誠実な態度に妻も離婚を決意し、結果、14年10月には慰謝料なしで月額8万円の養育費を払うという条件で協議離婚が成立。だが、その養育費も15年秋からは支払われなくなってしまったという。しかも、鶴保氏の地元でありこの前妻が暮らす和歌山では、“前妻は手切れ金で2000万円もらった”“子どもは本当は鶴保氏の子ではない”などという誹謗中傷の噂が流れているというが、これらは鶴保大臣の事務所関係者や後援者が出所だという報道もあったほどだ。
このように、今回、発覚した政治資金規制法違反ならびに受託収賄罪の疑いだけでなく、土人発言の容認、そして非道な女性スキャンダルと、とてもじゃないが鶴保氏に大臣の資質はないことは明白。とくに今回のカネをめぐる疑惑は、普通ならば検察による起訴も十分に考えられる重大事件だ。
しかし、「検察が動く可能性は極めて低い」と新聞社政治部記者は語る。
「あれだけ悪質な賄賂事件で、証拠も揃っていた甘利明前経済再生担当相が不起訴となったのは、当時、官邸から指示を受けた法務省の黒川弘務官房長が握り潰したためです。しかも、黒川はその後、事務次官にまで昇格。いまや法務省も検察も官邸の言いなりです。今後、鶴保大臣が刑事告訴されても不起訴は既定路線でしょう」
しかも、昨日に鶴保大臣の今回の問題を毎日新聞がスクープしたことを受けて、後追いするメディアが出るかと思いきや、大手新聞・テレビ局はダンマリ。きょうになって鶴保大臣が国会で追及を受けたため、取り上げるメディアも出てきたが、現職大臣の一大疑惑だというのに扱いはかなり小さいものだ。
こんな調子では、政権の不正は糺されることもなく、それがどんな不当な行為だとしても責任や罪が問われることもないだろう。当然な顔をして自分たちの不都合な問題を国民に容認させる──これを独裁政治と呼ばずして、何と呼べばいいのだろうか。
(編集部)
最終更新:2016.11.21 06:04