「参議院議員 鶴保庸介」公式サイトより
これは差別の上塗りだ。──沖縄県の東村高江での米軍ヘリパッド建設に反対する市民に機動隊員が「土人が」と暴言を吐いた問題で、鶴保庸介沖縄担当相が信じがたい発言をおこなった。
それは本日、開かれた参院内閣委員会でのこと。共産党の田村智子議員から「土人」発言問題の見解を問われると、鶴保大臣がこう言い放ったのだ。
「(田村)委員はくしくも『土人という発言が差別以外の何物でもない』とおっしゃったけれども、それこそが、申し訳ないけれども、私は判断できるものではないというふうに思っています」
「土人」と人を罵る行為が差別に当たるかどうか判断できない。……まったく見識を疑わざるを得ない発言だが、さらに鶴保大臣は、不敵な態度でこうも述べた。
「過去に土人という言葉の経緯でありますとか、その言葉が出てきた歴史的経緯でありますとか、さまざまな考え方があります。また、現在、差別用語とされるようなものであったとしても、過去には流布しておったものも歴史的にはたくさんございます。そういう意味におきましても、それを土人ということが差別であるというふうには、私は“これは差別である”というふうには断定できません」
鶴保大臣はもっともらしく語ったが、頓珍漢にも程がある。「土人」という言葉が差別的に使用されてきた歴史があるからこそ、「土人」と人に向かって投げつけることは差別行為だと現代社会では見なされている。なのに鶴保大臣は「昔は差別語じゃなかったから」という理由で「差別と断定できない」と言うのだ。「歴史的経緯」と言いながら、鶴保大臣こそそれをないがしろにする張本人ではないか。
しかもだ。鶴保大臣は「土人」発言が発覚したあと、会見で「ことさらに我々が『これが人権問題だ』というふうに考えるのではなくて、これが果たして県民感情を損ねているかどうかについて、しっかり虚心坦懐につぶさに見ていかないといけないのではないか」などと担当相でありながら沖縄県民の気持ちを見くびるような発言をしていたが、本日の同委員会で生活の党・山本太郎議員から“つぶさに見た結果”を問われ、こう答弁したのだ。
「県民感情を損ねていると私が断定するものではありません」