鈴木氏は本書を「発達障害や鬱病をはじめとする精神疾患・障害の当事者の言葉の代弁でありたい」と記し、その克服のためには自分を許容してくれる周囲の助けが必要だとしている。
現在、鈴木氏は未だ高次脳機能障害が残っているものの退院し本書を書き上げるまでになっている。ルポライターとしては様々な困難が今後もあるかもしれない。しかしこうした希有な体験をした鈴木氏だからこそ、これまで以上に貧困や障害に苦しむ人々に寄り添った新たな視点での作品が生み出されるかもしれない。
鈴木氏の今後の活躍、そして作品に期待したい。
(伊勢崎馨)
最終更新:2020.07.01 04:09