左・安倍首相の演説の様子/右・SEALDsをはじめとする市民連合と野党代表による合同街頭宣伝の様子
参院選に向け全国遊説を進めている安倍首相が、東京ではきょう初めて、JR吉祥寺駅北口前で演説を行った。
安倍首相が姿を現し、演説をはじめたのは16時20分すぎ。もちろん、肝心の内容は相変わらず“アベノミクス”のアピール一辺倒。これまで本サイトで幾度となく追及してきたように、いずれも根拠のないウソばかりで、もはや「それはあなたの頭のなかのファンタジーでは?」と言うべき話をひたすら語り続けた。
このように、これまでの選挙と同様、またしてもアベノミクスを選挙の争点にしようと躍起の安倍首相だが、経済政策を謳うことで国民の目を誤魔化し、憲法改正という危険な争点を隠そうとしていることは明々白々。特定秘密保護法や安保法制のように選挙にさえ勝てば後は好き放題にできると、完全に国民を見くびっているのだ。
しかも、安倍首相がアベノミクスの“架空”の成果を強調する一方で、野党バッシングにも精を出した。大分市での13日の遊説でも「みなさん、「気をつけよう、甘い言葉と民進党」であります。だまされてはいけません」などと言い、十八番の共産党批判を展開し、野党共闘を罵倒したが、きょうも「野党は批判ばかり」と煽った。「あなたこそ批判ばかりでは?」という話だ。
しかし、強気な態度で野党批判を繰り返す安倍首相だが、じつは内心では、野党共闘に怯えきっているようなのだ。
というのも、きょうは10時30分から東京・有楽町のイトシア前にて、SEALDsをはじめとする野党に共闘を訴えてきた「市民連合」が、野党代表を集結させて参院選に向けたキックオフイベントを開催。民進党の岡田克也氏に共産党の志位和夫氏、社民党の吉田忠智氏が登壇し、スピーチを行った。
この市民らと野党代表による合同街頭宣伝は、先週11日にはすでに告知されていた。それに対抗するように、自民党は先週後半、直前になってこのイベントの終了2時間後である14時に、同じ有楽町イトシア前での安倍首相の遊説を決定したのだ。
野党共闘の象徴的イベントが開かれる同じ日、同じ場所に遊説先を選ぶ……。これはどう考えても、安倍自民党が“わざと”ぶつけてきたとしか思えない。当然、同日に同じ場所で野党と安倍首相が同じように演説を行えば、メディアは比較するように報道を行う。すなわち安倍首相は“野党より自分のほうが聴衆を集めた”という画をつくり出すことで、圧倒的な強さを示す魂胆だったのだろう。