たとえば、2016年3月7日放送「重病を抱えながらも内戦が続くウクライナに住む日本人女性」では、この日本人女性が、〈友人の誘いでアメリカの大学に留学し、そこでウクライナ人の夫アンドレイさんと知り合い、恋愛し、結婚し、ウクライナで家庭を持ち、現在は、別のウクライナ人家庭の住宅に、好意で一緒に住まわせてもらっていると紹介〉されていた。
しかし、この統一教会信者である日本人女性信者は、文鮮明教祖の指名により、見ず知らずのウクライナ人男性と結婚しており、恋愛した事実も、このウクライナ人男性がアメリカの大学に行っていた事実さえも存在しないという。
他にも、14年8月25日放送「48歳で高齢初出産! 全てを捨てて中米の秘境コスタリカに移住したワケあり日本人妻」、13年8月23日放送「西アフリカの秘境ブルキナファソで4人の子どもを育てる日本人シングルマザー」、13年10月14日放送「愛する家族を日本に残して、中東ヨルダンで難民を救う日本人女性」なども、日本人女性が統一教会信者で、海外にいるのは合同結婚式の結果であるにもかかわらず、それをまったく別の物語をでっちあげていたことが指摘されている。
しかも、テレ東側は、素性を隠した信者たちに騙されたわけではなく、彼女たちが統一教会信者であることを知っていて、意図的に信者隠しを行った可能性が高い。というのも、番組スタッフが出演者の紹介を依頼した海外在住の人物がそのことを認めているのだ。再び申入書を引用しよう。
〈2016年4月、アフリカに居住する日本人男性は、「世界ナゼそこに?日本人」の番組スタッフである×××殿(申入書では実名)から、番組で取り上げるアフリカ在住の日本人を紹介して欲しいとの要請を受けました。
この日本人男性は、統一教会の指示によりアフリカ人男性と結婚してアフリカに居住している日本人女性らの悲惨な生活実態について、直接これら日本人女性から相談を受けたりなどして認識していたことから、×殿に対し、「同地には統一教会の集団結婚式で送り込まれた日本人花嫁もおり慎重を要する」旨を伝えました。
これに対し、×殿は、「当番組では・・・結婚した経緯など旦那さんとの出逢いに関しては、簡易化することもございまして、統一教会の方も何度か取材させて頂いたことがあります。ですので、そういった方でもお話をお伺いできたらと思っている所存でございます。」と回答しました。〉
ようするに、番組側はこれまで統一教会の信者が登場していることを認識し「結婚した経緯などを簡易化」したというのだ。これは、明らかに捏造、ヤラセではないか。いや、ただのヤラセ、捏造ではない。
統一教会は教祖・文鮮明(故人)のもと、これまで違法な布教や霊感商法などを長年行い、最高裁でも違法と認定された集団であり “カルト”として社会問題化した団体だ。特に信者の“合同結婚式”については数々の問題が指摘されてきた。