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極右「WiLL」になぜ右翼団体がテロを起こしたのか?「天皇をないがしろにする安倍的右派」台頭と右右対立

 こうした風潮の萌芽は、前述した20年前の「宝島30」「週刊文春」襲撃事件の時にすでにあった。鈴木邦男氏が同じく「宝島30」94年1月号で、〈「皇室を憂うる」という錦の御旗のもとに「反天皇制」と変わらない記事や批判、中傷が氾濫する〉状況について、〈「憂国」は簡単に「反日」に転化してしまう〉と指摘している。

 鈴木氏によれば、〈天皇制は必要だが天皇個人はどうなってもいいと暴言を吐いた「天皇制支持者論者」もいた〉、〈「今ある天皇」がダメならば倒してもかまわない、と、そんな過激なことを言う(民族派の)学生もいた〉という。つまり、こうした「天皇をないがしろにする右派」が台頭してきた延長線上に、「WiLL」やネトウヨが存在しているということだろう。

 実は、こうした皇室への態度は、安倍政権にも通じている。事実、一昨年には、安倍政権下で教育再生実行会議委員をつとめるなど、安倍首相のブレーンとして知られる八木秀次氏が、「正論」(産経新聞社)14年5月号で、「両陛下のご発言が、安倍内閣が進めようとしている憲法改正への懸念の表明のように国民に受け止められかねない」「宮内庁のマネジメントはどうなっているのか」と天皇皇后の護憲の姿勢を批判。これは明らかに“安倍首相の悲願に背く皇室は邪魔だ”というメッセージだった。

 繰り返すが、言論活動を封殺する目的で行われるテロ行為は、決して許されるものではない。しかし、安倍政権を支える右派メディアが、天皇を崇拝する右翼活動家に攻撃を受けたという事実は、本当の「反日」が誰かということをあぶり出したともいえるだろう。
(エンジョウトオル)

最終更新:2016.05.14 11:15

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