たとえば、1991年に文藝春秋から出した本のタイトルは『ハーバードマン』。2001年に『情熱大陸』(TBS系)で取り上げられたときも、「1963年 ニューヨーク生まれ 父・米国人医師 母・日本人ジャーナリスト」「1981年 東京大学 ハーバード大学 MIT イェール大学 プリンストン大学 スタンフォード大学 カリフォルニア大学バークレー校 計7大学に現役合格」と、これでもかという感じでその合格歴がテロップで紹介されている。
そして、今もあいかわらず、数十年も前の学歴を後ろ盾に、上から目線で“愚民批判”をしているというわけだ。
そういう意味では、学歴を詐称していないというだけで、ロバートソン氏の本質は学歴で自分をコーティングし、ブランド価値を高めてきたショーンK氏と変わりがない。いや、自分のエリート主義を満たすために政治的主張をしているぶん、ショーン氏より悪質かもしれない。
しかし、だとしたら、改めてうんざりさせられるのが、“ショーンK騒動”を引き起こしながら、“ハーバード卒”という肩書きに引っ張られてこういう人物を起用してしまうフジテレビの体質だ。しかも、このラジオDJは「愚民どもは安倍サマを批判するな」と公言する人物でもある。
裏でコネ社員ばかり集めて政権と癒着し、番組でも政権応援と選民意識をあからさまにしようとしているテレビ局のグロテスクな姿を見ていると、絶望的な気持ちになってくるが、しかし、唯一の救いは、前述したように、この“アメリカ人エリートDJ”に知見がまったくないことだ。“ショーンK騒動”のドタバタの上に、この出演者じゃ、おそらく、放送が始まったらすぐに馬脚を現し、あっという間に視聴者に見放されるだろう。
そういう意味では、バブルを忘れられないカンチガイ企画を連発して低視聴率にあえぐフジテレビと、今も“ハーバード卒”の華麗なる学歴にすがり続けるモーリー氏は、ぴったりの組み合わせというべきなのかもしれない。
(宮島みつや)
最終更新:2017.11.24 09:08