■大越キャスター降板、安保報道での“国営放送”化で大本営発表!籾井NHKは完全に
他方、『報ステ』の川内原発報道問題とともに、『クローズアップ現代』がヤラセ疑惑で自民党に呼ばれ、BPO案件入りしたNHKはどうだっただろうか。むしろ、籾井勝人会長はこれを機に、安倍政権に批判的な報道をする『クロ現』を番組改編で葬り去ろうとしている。
また、テレ朝が古賀茂明問題で揺れていたほぼ同時期、NHKの看板報道番組『ニュースウオッチ9』では、5年間キャスターをつとめた大越健介氏が降板した。突然の決定で大越氏自身も寝耳に水、上層部になぜなのか?と食い下がったというが、ここにも官邸の影がちらつく。原因は大越氏が原発問題に関心が強かったからだとも言われているが、籾井会長を頂点とするNHK上層部が安保法制の審議などを控えていた昨年、少しでも政権に楯突く可能性のある人物を番組の顔役から降ろすことで恭順の意を示したと見る向きも強い。
安倍官邸が昵懇の仲である籾井会長を通じてNHKを手なずけていることは有名だが、実は昨年、NHKは“国営化”に向けてまた一歩前進している。きっかけは9月、自民党側が受信料の支払い義務化を検討するよう総務省に求めたことだ。籾井会長も前向きな姿勢を見せ、マイナンバー制度の活用も検討したいと表明。その場合、罰則規定を含む法的拘束力は国が担保するため、NHKは事実上の“国営化”へと一気に傾く。
「NHKは国営放送ではありません。(略)これからもこれまで同様の報道姿勢を貫いていきたいです」
そう就任会見の場で語ったのは『ニュースウオッチ9』の後任キャスターである河野憲治氏だが、結果はとんでもないものだった。NHKは安倍首相の「早く質問しろよ!」ヤジなど安倍政権に都合の悪いことは一切報じず、衆院特別委での安保法強行採決の中継すら行わなかった。官邸と上層部が強固に結びついた結果吹き荒れる“自粛”の嵐。もはや、NHKは戦中の“大本営”とほとんどかわらない状態になっている。