16日に合憲判決が出た夫婦別姓禁止にかんする最高裁の様子(YouTube「ANNnewsCH」より)
認められるべき女性の権利が、この国ではなぜ受け入れられないのか。選択的夫婦別姓をめぐる大法廷の判断は、承服しがたいものだった。
本日、女性の離婚後6カ月の再婚禁止期間と夫婦別姓禁止についての民法規定が憲法に反するという裁判で、最高裁大法廷は再婚禁止期間を「100日を超える部分については違憲」とはじめて違憲と判断。一方、夫婦別姓禁止については「合憲」とし、訴えが退けられた。
しかし、夫婦別姓禁止にかんする判決は、憲法13条の「人格権」と憲法24条の「個人の尊厳と両性の本質的平等」に反した不当な判断であり、結婚時に夫の姓を選ぶ女性が約98%という現実を鑑みると、夫婦同姓を強制する民法750条は憲法の定める男女平等を骨抜きにし、女性の権利を軽んじていると言わざるを得ない。
しかもこの最高裁判断は、現政権の考えを忖度した結果と言っていいだろう。実際、今回最高裁は、女性が結婚によって男性の姓を名乗ることにかんして「アイデンティティの喪失感など不利益を受ける場合が多いと推認できる」という認識も示し、「結婚制度や姓のあり方に対する社会の受け止め方に依拠するところが少なくなく、国会で論ぜられ判断されるべき事柄だ」と言及。いわば統治行為論によって判断を国会に投げ出した。これは最高裁が夫婦別姓禁止を「違憲」と判断したとしても、国会では自民党、安倍内閣による猛反発が予想されていたからだろう。
なかでも、選択的夫婦別姓制度の導入に反対する“急先鋒”は、内閣の最高意思決定者である安倍首相である。
安倍首相は下野時代、こんな調子で夫婦別姓を“糾弾”していた。
「夫婦別姓は家族の解体を意味します。家族の解体が最終目標であって、家族から解放されなければ人間として自由になれないという、左翼的かつ共産主義のドグマ(教義)。これは日教組が教育現場で実行していることです」(ワック「WiLL」2010年7月号)