首相官邸HPより
消費税の軽減税率をめぐり、自民・公明の両党は、減税の対象を酒を除いた全ての食料品とすることで一致した。
軽減税率を生鮮食品だけに限定しようとする自民党と、すべての食料品に導入しようという公明党の対立に官邸が割って入り、公明党に譲歩することを決断したかたちだが、しかし、食料品に全部軽減税率を適用しても、逆進性、低所得者の負担増が食い止められるわけではない。それ以前に、経済の専門家の多くは景気が頭打ちでデフレ傾向も出てきている中で、増税をすること自体がありえないと指摘している。
「今回の流れはそういう反発を抑え込むための猿芝居ですよ。来年の参院選を考えたら、公明党案に乗るしかないことは最初から決まっていた。でも、官邸はその決断を国民へアピールするために、自公に大立ち回りをさせたあげく、最終的に安倍首相の“鶴の一声”で決着を見るというパフォーマンスをしたんですよ。シナリオを書いたのはもちろん菅(義偉)官房長官です」(政治ジャーナリスト)
しかし、新聞・テレビはそんな裏話をおくびにも出さず、まるで、安倍官邸のPR話を垂れ流すように、数日にわたって軽減税率をめぐるやりとりを大々的に報道してきた。
だが、その一方で、彼らがまったく報道しなかった問題がある。それは、他でもない、新聞が軽減税率の対象になるという事実だ。
「すでに政府関係者が新聞と書籍を軽減税率の対象とする発言をしています。しかも、これは昨日今日決まった話ではない。10月には、菅官房長官や公明党の山口(那津男)代表が新聞への軽減税率適用を示唆していましたし、自民党新聞販売懇話会も範囲に含めることを求めた要望書を宮沢洋一税制調査会長へ出していました。ようするに“後はタイミング”という段階だったのです」(前同)
ところが、この数日、新聞もテレビもこれについてはほとんど報道していない。昨日、TBSと日本テレビがようやく“新聞も軽減税率の範囲内になる”と報じたが、新聞は一切報じなかった。